【グアム(米国)19日=久保賢吾】巨人阿部慎之助捕手(34)が、プロボクサーの亀田興毅(27)から、世界王者のイズムを吸収した。この日、TBSのスポーツ番組「S☆1」の収録で合同自主トレを行った。ピンポン球を投げて動体視力を養成する「ピンポン球ディフェンス」や、バットの先にグローブをつけ、それを避ける「高速ジャブ」を体験する中、亀田興の姿勢にヒントを見つけた。

 阿部

 よける時も、パンチを打つ時も、「前に、前に」という意識で敵に向かっていくよね。野球ではあまり「前に、前に」というのは、体が突っ込むということだから良くないけど。人として、取り組む姿勢として、大事だと思った。やっぱり、前に前に向かっていかなきゃ。

 阿部と共に合同自主トレを行っている野手陣も体感した。坂本はミット打ちを体験し、長野、矢野は試合用のグローブをつけた亀田興のパンチを受けた。その全ての動きから感じたのが「前に」の姿勢だった。日本人で初めて世界3階級制覇を達成した男の動きに、「さすが世界王者」とみんな舌を巻いたが、自分なりの着眼点をつけ胸に刻んだ。

 トップアスリート同士の交流は、互いの心を刺激し合った。阿部はボールの投げ方やスイングを指導。体の重心の置き方など、プロのテクニックを伝えた。亀田興は「日本でトップの選手なので、同じアスリートとして、刺激を受けた」と感激。「野球もボクシングも軸が大事。軸がしっかり作れへんかったら、パンチは効かへんからね」と共感した。

 練習後、お互いの健闘を誓い合って、力強く握手を交わした。世界4階級制覇を目指す亀田興と日本一奪回を目指す巨人。常夏の地、グアムでぶつけ合ったアスリートの魂は、今シーズンの大きな力になる。「日本一を奪回できるように頑張ります」。共にてっぺんを目指す。【久保賢吾】