自然の力に負けた…。日本ハム中田翔内野手(24)が沖縄・名護キャンプ初日の1日、フリー打撃で不発に終わった。左翼から逆風となる約6メートルの強風の影響もあり、36スイングで柵越えはゼロ。たまりにたまったイライラは、全体練習後に行ったロングティーにぶつけた。計107スイングで10本の場外弾を放った若き主砲だが、ちょっぴり不満のスタートとなった。

 海まで飛ばすという意気込みも、強烈な逆風にはね返された。中田が風に完敗した。楽しみにしていたフリー打撃。左翼へ高々と上がった打球は風に戻されグラウンド上にポトリ。「初めは狙ったんだけど…。途中から、この風だからね。右方向しか狙わなかった」。左翼側からグラウンドに向かって、約6メートルの強風が吹き荒れた。米ハワイで作り上げてきた屈強な肉体でも、お手上げだった。

 リベンジも失敗した。柵越えゼロに「気分が悪くなった。気持ちよく帰ろうと思って」と、全体練習後はロングティーを敢行。再び逆風となる左翼側へ向かって91スイングで41本の柵越え、そのうち場外弾は8本も「アカン」と、何度も叫んだ。理由は「場外しか狙っていなかったから」。さらに、強風が追い風になる右翼方向へ向かって16スイングで13本の柵越え。場外弾も2本あったが、うさ晴らしとはならなかった。

 表情を明るくさせたのは“新相棒”の話題だ。練習後に宿舎へ戻ってきた中田の右手には、真新しい黒を基調としたマスコットバットが握られていた。「部屋で振れるようにね」と、宿舎の自室での素振り用に持ち込んだ約1キロの新アイテム。バットの先端には血しぶきをイメージした赤い斑点をあしらう斬新なデザインの一品を、夜な夜な振り続けることになりそうだ。

 キャンプ初日だが、疲労はたまっている。前月30日までハワイで筋力トレーニングを行い、休みなしで移動してきた。「乳酸がたまっている状態」と、弱音もポロリ。ただ、今日2日以降は「疲れが抜けたら、体のキレも出てくると思う。切り替えていきたい」と、“反撃”を予告。左翼後方に広がる海まで「行くやろ」と自信満々の中田だったが、不満全開のスタートとなった【木下大輔】