勝負カラーはオレンジだ!

 ソフトバンク本多雄一内野手(29)が、今季はオレンジ1色のグラブで臨む。昨年は黒との2色を使用。オレンジ1色は日本一に輝きゴールデングラブ賞を初受賞した11年以来3年ぶり。3日の宮崎春季キャンプでもそのグラブでノックを受けるなど、縁起のいい相棒と日本一を奪回する。

 本多がオレンジグラブでノックの打球を鮮やかにさばいていた。昨年は黒とオレンジの2色。オレンジ1色に戻したのは、本多ならではのこだわりだった。

 本多

 オレンジだと革が動く。夏の暑い時、牛革は伸びやすいが、色を塗っていないので革が言うことを聞くんです。

 プロ入り以来、スラッガー社製のグラブを愛用しているが、同社はオレンジグラブに使用する革は自然な色に仕上げるためにシミなどがない牛の中でも最高にいい部分を使用するという。黒などと2色にすると塗料の関係でオレンジの部分は伸びても黒の部分は伸びないなど全体が同じ質感ではなくなる。

 スラッガーの担当者は「オレンジ1色だと手の動きが伝わりやすくなります。グラブも生き物ですから。キャンプ、オープン戦で自分の形に育てる。グラブも鍛えていかないといけません」と説明する。

 昨年秋に4個の候補が本多の元に届き、このキャンプで2つに絞られ、うまくなじむように仕上がってきている。

 手袋やリストバンドが赤いように本多の一番好きな色は赤やピンクの派手系。だが「打球を捕るためには手段を選ばない」と、格好より少しでも確実に捕球できる方を選んだ。今年30歳を迎える。「若い時の方が動けるとは思う。質を高めればいいスタートが切れる」。年齢をカバーする意味も込められている。

 このキャンプでの守りのテーマは「1歩目のスタート」。打球のバウンドへの無駄のない入り方を数多くノックを受け、技術を高めていく。今日は今キャンプ初の特守を受ける。

 オレンジ1色を使った11年は日本一に輝いた。フルイニング出場し初のゴールデングラブ賞を獲得。打率も3割を超え盗塁王も獲得した最高の年だった。本多が手元から原点回帰する。【石橋隆雄】