勝負の沖縄8番勝負じゃ!

 広島栗原健太内野手(32)が4日、宮崎・日南市内の天福球場でキャンプ初のランチ特打に臨んだ。45スイングで柵越え5発を放ち、他球団スコアラー陣から復活を警戒された。12年に手術した右肘の影響もあり、2年連続0本塁打に終わっている主砲。一塁レギュラー再奪取に向け、野村監督からはまず沖縄移動後の実戦全8試合で結果を出すように求められた。

 のんびりムードの昼食タイムも、栗原にとっては生き残りをかけた一瞬一瞬だ。「今年は練習からアピールしないといけない」。1月下旬に誓った通り、キャンプ初のランチ特打で強振を繰り返した。45スイングで柵越え5発。数字以上の手ごたえがあった。

 栗原

 今年はちょっと(柵越え数を)気にしながらやっている。去年と比べて振れている感覚はある。これで柵越えするんだという打球があった。

 例年なら状態確認に終始する時期。助っ人勢が調整ムードで特打を行う中、栗原はまるで若手のようにがむしゃらにバットを振っている。「1年目の時は、とりあえず飛ばすことだけを考えていた」。14年前の00年春季キャンプが頭によぎるほど、力強さにこだわっている。もう1度、首脳陣に力を証明する必要があるからだ。

 12年に右肘を手術し、2年連続で0本塁打。通算153本塁打の実績はもう効力を持たない。肘の違和感が消えつつある今も、一塁レギュラー本命はキラ。強引に予想を覆すしかない。

 オフから早めの始動で待球時間を長くするスタイルに改良。「狙ったボールが来たら8割打てる。その狙いが外れた(予想と逆球の)時も対応できるようにしたい」。試行錯誤する元4番は早くも「007部隊」から警戒される存在だ。

 視察した巨人香坂編成調査室長から「去年と全然違う。良くなった」と認められ、阪神御子柴スコアラーからも「去年よりいい。肘のこともあって手首の返しが早かったけど、今年は打球が上がる」と分析された。状態は上々。次のステップは「結果」しかない。

 キャンプイン前日の1月31日、野村監督から直々にゲキを飛ばされた。「強い健太を見せてくれ」。指揮官は栗原に期待を込め、沖縄キャンプ移動後の実戦フル参戦を義務づける。

 野村監督

 健太は沖縄に行ってからの実戦8試合、常に出てもらう。それを頭に入れて仕上げてくれと伝えてある。キラを押しのけていく結果を残さないと。

 一塁再奪取へ。最初の関門は沖縄8番勝負になりそうだ。【佐井陽介】