<オープン戦:巨人3-2楽天>◇23日◇沖縄セルラー那覇

 巨人が井端弘和内野手(38)のサヨナラ打で楽天を競り落とした。1点を勝ち越された直後の9回。安打、四球、送りバントとつながり、1死二、三塁のお膳立てができた。1ボールから続けて空振りしていた。「追い込まれて楽になった」と、冷静に状況を整理した。相手の守備位置を確認した上で「タイミングを取るのが遅いのかな。ボールが曲がる前くらいに、センターに打とう」と決めた。カットボールがまた続いた。イメージ通り、力強いゴロで二遊間の真ん中を割った。

 みんなに水をかけられた。「そのまま戻るつもりだったんですが…。ビックリしたけど、うれしかったですね。由伸が一生懸命(二塁から)走ってくれて。それも驚いたんですけど、うれしかったです」。新しい仲間に迎えてもらったベテランは、少し恥ずかしそうに照れた。

 沖縄入りしてから連日早出の特守を行い、若手の先生役を務めている。「もう少し体を張らせて、しっかり準備を進めたい」と、打席と同じで計算ずくの調整にまい進する。黙々と練習する姿を見ていた敵将の星野監督に「本当に野球をよく知っている選手。巨人は最高の補強をした」と言わしめた。職人がヒタヒタと歩を進める。【宮下敬至】