俺ですよ、監督!

 中日の開幕投手候補の4年目大野雄大投手(25)がようやく“直接アピール”に成功した。今キャンプ初めて谷繁元信兼任監督(43)を相手にブルペン投球が実現。開幕投手の決定権を持つ正捕手に、思いをぶつけた。1軍は今日27日にキャンプを打ち上げる。開幕戦の先発は誰か。本格的な競争がスタートする。

 ブルペンに独特の緊張感が漂った。大野が投球練習を開始してから数分後。谷繁兼任監督がマスクをつけて現れた。

 谷繁兼任監督

 お前、初めてだよな?

 大野

 はい。そうです。

 張り詰めた空気の中で、開幕投手本命の左腕は冷静だった。パシッ、パシッと小気味よく20球。キャンプ26日目にして、ようやく大野-谷繁のバッテリーが実現した。見方によっては、シーズン幕開け1カ月前の“開幕デモンストレーション”。2人がブルペンの視線を集めたことは言うまでもない。

 「監督が開幕投手を決める。試合もずっとベンチから見られていたので、いいアピールができていると思ってます」

 開幕投手を狙うと公言する左腕は、キャンプを振り返り強気に言い切った。キャンプの球数は、目標まであと100球の1700球に到達。オープン戦開幕を任された22日オリックス戦(北谷)は3回無失点と文句なしだった。キャンプの充実ぶりが試合でも結果に表れている。だからこそ、1カ月後に開幕の先発マウンドに立つ自信がある。

 指揮官はこのタイミングでマスクをかぶった理由を「受けてなかったから」と説明した。大野については「この前のオープン戦でいいものを見せてもらってるんで、続けてほしい」とだけコメント。「開幕投手」のフレーズが出そうになると「みなさん(報道陣)が期待していることは何もありません」と笑い飛ばし、帰りの車に乗り込んだ。

 現時点の開幕投手候補は大野、カブレラ、川上の名前が挙がる。谷繁体制1年目のオープニングゲームの投手は?

 大野がその筆頭であることは間違いない。【桝井聡】