「かわいすぎるスラッガー」がブレークだ。日本ハムの4年目、谷口雄也外野手(21)が27日、韓国・LGとの練習試合(名護)で、8回に中堅左へ推定140メートルの特大アーチだ。今キャンプ実戦4本目で、3本の中田を抜きチームの「本塁打王」に躍り出た。タレント剛力彩芽にそっくりの愛くるしい顔で注目されるが、外野のレギュラー争いに急浮上。昨年まで1軍では6安打1打点のみで本塁打なしという若手がスター街道を目指す。

 キュートなアヒル口が、ほころんだ。谷口が、かわいげなくワンチャンスをものにした。8回1死二、三塁。狙い通りの直球をとらえた。打球はバックスクリーン左の防球ネットに直撃。そっくりさんの「剛力」のような力強い弾道の逆転の決勝3ランを放った。「風のせいじゃないですかね?」と小首をかしげ目をパチクリ。チャーミングな笑顔でも、ファンのハートをわしづかみにした。

 ベビーフェースに隠れた闘争心が、奮闘の下地だ。首脳陣にチームメート、他球団選手からも「彩芽ちゃん」と呼ばれるほどのルックス。「かわいすぎるスラッガー」として人気上昇中だ。ただ車のハンドルを握ると、剛力の新ダンスばりに「ガオガオ」と荒々しい姿に一変。すぐにクラクションを鳴らす血の気ある一面に、稲葉が腰を抜かしたことも。「プレースタイルを変えるくらいなら野球をやめる」。そんな本能と強い信念を発揮して結果を残している。

 見た目のインパクトは主砲に負けていない。この日で今キャンプ通算4本目で中田を上回り実戦ではチーム単独トップ。いかつい大砲とは対照的でグラブは乙女らしさ全開。ピンクと黄色のローマ字で名前が刺しゅうされている。ワンポイントにチームのマスコット「B☆B」のイラスト付き。中田の三塁転向で今季は外野陣は混戦状態。外見はギャップ満点だが「ポスト中田」の候補だ。

 反骨心をバネに開花の兆しが見えてきた。入団当初から甘いマスクで注目を集めてきた。「そろそろ谷口雄也で覚えてほしいな…」。特長でもあり悩みの1つでもあった。栗山監督は「覚悟みたいなものは感じる」と、かわいらしさの中の闘志を感じている。「目の色を変えてやるしかない」。谷口が、本家・彩芽ちゃんばりに大注目を浴びる日も近い。【田中彩友美】<谷口雄也(たにぐち・ゆうや)アラカルト>

 ◆生まれ・サイズ

 1992年(平4)6月1日生まれ、三重出身。身長182センチ、体重87キロ。右投げ左打ち。

 ◆ドラフト5位

 愛工大名電時代は甲子園出場なし。高校通算44本塁打を放ち、10年ドラフト5位で日本ハムに入団。同期の1位は斎藤佑樹。入団当初は「僕もユウちゃん(雄也)」と対抗心を燃やした。

 ◆イチローにあこがれ

 もともと左利きだが、ヤンキース・イチローにあこがれてスローイングは幼少期から右投げ。左右両方で文字が書ける。

 ◆月間MVP

 12年6月下旬から8月上旬にかけて、ファームで20試合連続安打を記録。7月のイースタン・リーグ月間MVPに輝く。

 ◆1軍デビュー

 12年9月4日楽天戦(東京ドーム)、2番右翼でプロデビュー。翌5日の同戦で初安打含む2本のヒットを放つ。

 ◆弟子入り

 チームの先輩・稲葉に弟子入り志願し、2年前から合同自主トレを行っている。