「打たれろ!」指令は聞きません。楽天のドラフト1位松井裕樹投手(18=桐光学園)が6日、星野仙一監督(67)の不安を取り除くと誓った。5日のロッテ戦で5回無失点6奪三振と好投。プロ入り後2戦連続無失点で、開幕ローテーション入りは確実となった。順調な仕上がりに、指揮官から「1度打たれた方がいい。プロの壁を味わって、なにくそと思うのも大事。てんぐになるタイプじゃないだろうけど」と心配された。

 このまま挫折を知らずにシーズンを迎えることを不安視されたが、左腕は「打たれたくないですよ!」と、負けず嫌いらしく即否定した。1年間ローテーションを守るための手応えをつかんでいるからだ。登板から一夜明け、「いつもと違うところが張っていた。トレーナーさんに投げ方が良くなってきているからだと言われました」と明かした。

 今キャンプから、投げ終わりに体が三塁側に大きく倒れるフォームを修正している。星トレーナーは「腰が反って胸が張れず、引っかかるように腕を振っていた。それが無くなった」と分析する。これまで登板後は左肩の後ろが張ることが多かったが、今回はスムーズに体重移動が行えるようになり背中全体に疲労が出た。フォーム改善の効果だと受け止めている。

 この日も疲労を取るため1人で黙々とランニングをこなした。次回登板は13日のオリックス戦の見込み。慢心のない左腕に、劇薬は必要なさそうだ。【島根純】