<オープン戦:楽天1-0中日>◇8日◇倉敷

 「デカイ!」の評価が「すげえ!」に一変した。楽天のルーク・ファンミル投手(29=レッズ傘下3A)が、中日戦の4番手で登板。身長216センチから投げる直球は最速152キロを記録するなど持ち味を発揮し、1回無安打2奪三振無失点の好投を見せた。今キャンプにテスト生として参加し、3日に育成選手契約を結んだばかり。だが、この日の好結果に星野監督は開幕前にも支配下登録したい意向を口にした。

 この男、イロモノではない。身長216センチ。あのジャイアント馬場さんを超える長身右腕ファンミルの登場に、倉敷の球場がざわついた。「デカい!」。先頭のエルナンデスを投ゴロに仕留めると。あちこちからわき上がる歓声は「すげえ!」に変わった。

 スラリと伸びた腕から投げられる150キロに近い速球に、中日打線が完全に沈黙した。直球でコーナーをついたと思えば、130キロ台のスライダーで大胆にカウントを稼ぐ。最後は打者平田を見下ろすように、149キロの直球を外角低めに決めて悠然と歩き出した。「変化球でストライクを取れたので、直球が生きた」と大きな体をさらに大きくするように胸を張った。

 堂々とした投球とは違い普段の生活は好青年そのもの。今の悩みは日本のホテルでシャワーを浴びる時に膝をつかなくてはいけないこと、移動のタクシーが窮屈などなど。つねに頭をぶつけないように注意するなど日本のスケールにちょっぴり苦労している。それでも「日本を学んでいきたい。日本はすばらしい国だよ」と話す。練習も真面目に行い、スモールベースボールにも対応できるように、投内連係では鋭いダッシュでボールをさばく。

 そんな熱心な姿に首脳陣の評価も急上昇。星野監督は「あの球が投げられれば、後ろが心配なくなる。番号を3ケタから早く2ケタにしてあげたい」と、支配下登録したい意向を口にした。ファンミルは「背番号2ケタを取るために日本に来ている。うれしい」と意気込む。温厚で真面目と態度は大きくない。失点も少ないとなれば防御率も低くなる。現在背負う背番号146が小さくなれば右腕の大きいものは身長だけになりそうだ。【島根純】

 ◆ルーク・ファンミル

 1984年9月15日生まれ、オランダ出身。05年までオランダで野球を続け、06年から米ツインズ傘下でプレー。その後エンゼルス、インディアンス、レッズの傘下でプレー。主に中継ぎ、抑えを務めた。メジャー経験なし。13年WBCオランダ代表で、同年秋にソフトバンクのテストを受けるも不合格となった。216センチ、120キロ。右投げ右打ち。

 ◆主な長身選手

 過去の最長身選手は208センチのヒルマン(ロッテ、巨人)とターマン(横浜)。日本人選手の2メートル以上は馬場正平投手(巨人)だけ。馬場はプロレス時代に209センチも、巨人時代は200センチで登録。今季の日本人最長身は南(ソフトバンク)の198センチ。大リーグの史上最長身は211センチのジョン・ラウチ(ロイヤルズ)。