<オープン戦:阪神5-6日本ハム>◇8日◇甲子園
甲子園初勝利で、開幕ローテーション入りを確実にした。日本ハム大谷翔平投手(19)が、敵地での阪神戦で快投を見せた。高校時代からのライバル藤浪との投げ合いで5回1失点。1回に鳥谷から最速156キロでの空振りを含め4奪三振と圧倒した。2度出場した花巻東時代に1度も勝てなかった聖地で勝利投手となり、プロも含めて野球人生初白星を挙げた。昨年は野手として開幕1軍だったが、今年は投手での開幕切符が決定的になった。
豪快に、痛快に、やっと勝者として君臨した。大谷が、甘酸っぱい甲子園の記憶を書き換えた。剛腕から繰り出した自力で、藤浪を敗者へと追いやった。高校時代に2度、打ち砕かれた夢をかなえた。3年生だった12年センバツで投げ負けたライバル右腕との投げ合いを制した。オープン戦だが、球児の余韻を残す野球少年は心躍る。いたずら心いっぱいの勝者の弁も飛び出した。
大谷
悪い思い出しかなかったので、いい投球で良かった。今日はオープン戦なのでシーズン(公式戦)で勝ったら泣きます。
荒々しく、力強く、進化を証明した。1回2死。鳥谷を3球で1ボール2ストライクと追い込む。主導権を奪うと、大胆に向かっていった。やや内角146キロでファウルを誘う。続く5球目。不敵すぎる選択をした。「直球で三振を取りにいった」。外角高めを、この日最速156キロで突いた。球界トップクラスの左の巧打者がバットにかすめることもできない。空振り三振に切った。
たたき出した球速以上に、末恐ろしい証言をした。「コースだけは間違えないようにしてました」。高低は気にせず、外角へ投げれば-とアバウトさ満点の1球だった。前段の配球、鳥谷の反応から速球で三振を奪えるとの読み。高校時代、投手としては壁にぶつかった二刀流1年目の昨季からステップアップしたとの確信がにじんだ。新球種「パワーカーブ」など変化球も巧妙に駆使。四球が絡みはしたが併殺崩れの1失点のみで、5回をほぼ完璧にまとめ上げた。
念願のチケットを手にするのは確実になった。投手での開幕1軍、ローテ入り。栗山監督はまず「全然!」と切り捨てたが、成長の跡に「そういうための甲子園だったんだから」と独特な表現で評価した。二刀流2年目のオープン戦は既に本塁打も放ち、この日、甲子園で藤浪にも勝った。大谷は「藤浪は結果も出しているので、やりづらさもあったと思う。僕は挑戦者なので」と敬意を払いながら、ケジメの1勝に浸った。パイオニアの道を真っすぐに進む、道しるべになった。【高山通史】



