<オープン戦:DeNA3-3ソフトバンク>◇9日◇横浜

 俺もやる!

 ソフトバンク千賀滉大投手(21)がもう154キロをたたき出した。DeNA戦の8回に登板し打者3人で片付けた。気温9度でも全18球のうち10球で150キロ台をマーク。キャンプは第1クールに2軍落ちも、下半身強化で見事に復活した。昨年17ホールドを挙げたセットアッパーの強烈デモで「勝利の方程式」は盤石のものに近づいてきた。

 顔の前でロジンバッグの粉を爆発的に散らしながら、直球を連射した。8回。千賀は代打井手に3連続ボールとした。球が上ずる。それでも4球続けて押し、最終的にフルカウントからスライダーで打ち取った。柳田はフォークボール、筒香はこの日3度目となる最速154キロで空振り三振に斬った。

 「直球の感触は良かったですね」

 全18球のうち14球が直球。変化球もテストしたが、やはり剛速球が光った。

 右拳にフウッと息を吹きかけながらの投球。登板時の気温9度というコンディションで自己最速に2キロと迫り、今季の更新に期待を抱かせる仕上がりだ。球威には「体がしっかり回っているのだと思います」と体の幹を使えている感触がある。

 「体が突っ込んでしまった。それでもどうにかやっていこうと。打者に助けてもらいましたけど」

 球が上ずって3ボールが2度。そのバランスの修正点も認識できていた。

 キャンプは第1クールに不調で2軍落ち。山内投手コーチらと話し合い、下半身をより使うフォームを染み込ませた。昨年はチーム最多51試合で17ホールド1セーブ。ただその51試合目で左脇腹を肉離れして離脱し、チームに迷惑をかけた。上体に頼ってけがをするリスクを避け、「1年間しっかり投げる」と目標のため“回り道”を前向きにとらえ、3月のオープン戦に間に合わせた。2試合無失点と順調だ。

 守護神争いは五十嵐とサファテ。その手前を投げるセットアッパーも岡島、森福に加え、千賀も仕上げてきて、オリックス川畑スコアラーは「6回までにリードをとらないと相手は苦しい」とうなった。後半3イニングを締める「勝利の方程式」も人材たっぷり。登板順の決定に首脳陣は開幕までぜいたくな悩みを抱えることになるが、他球団には十分な脅威になっている。【押谷謙爾】