中日の開幕遊撃は、新外国人のアンダーソン・エルナンデス内野手(31=メキシカンリーグ)が有力になった。不振の高橋周平内野手(20)は、10日の練習試合広島戦(マツダスタジアム)も無安打で2軍降格が決定。一方遊撃で来日初先発し、三塁打&再三の好守で魅せたエルナンデスが、谷繁元信兼任監督(43)の心をとらえた。本命高橋周を大逆転。異例の助っ人ショートで開幕だ。

 竜の開幕遊撃争いが急展開を見せた。不振の高橋周を三塁に追いやり、初の遊撃スタメンで出場したのはエルナンデスだった。新助っ人は4回にバリントンの変化球をとらえて右中間を突破。快足を飛ばして判断よく三塁を陥れ、続く平田の二ゴロで先制のホームを駆け抜けた。オープン戦以降の実戦はすべて途中出場だったが、打率3割8分5厘と好調キープ。大逆転の開幕遊撃が濃厚になった。

 エルナンデス

 試合に出させてもらって楽しかったし、自分のプレーができたよ。監督が開幕スタメンに僕の名前を書いてくれるとうれしいね。

 外国人5人の中では一番地味で、日の当たらなかったドミニカンの笑顔がはじけた。守備では1つ失策を犯したが、三遊間へのヒット性を逆シングルで好捕してアウトにするなど、堅守を連発。その姿は現役時代の名手、辻内野守備走塁コーチが「リストが強いしグラブの使い方もうまい。日本人にはマネできない守備をする」と絶賛するほど。3Aなどで5度ゴールドグラブ賞に輝いた看板は、偽りなしだ。

 控え扱いでも腐らなかったのは、ルナから「必ずチャンスが来る。準備だけはしておけ」と励まされたから。数少ない出番で地道に仕事をし続けてきた。谷繁監督はそんなマジメな性格も評価しながらうなずいた。「使えるようにとらえました。今日の動きを見て、そういう形(スタメン)が出ていくと思う」。この日高橋周が降格。ライバルは岩崎や谷、森越らもいるが、エルナンデスの圧勝ムード。異例の遊撃助っ人が、開幕ダッシュへの重要なピースとなる。【松井清員】

 ◆アンダーソン・エルナンデス

 1982年10月30日、ドミニカ共和国サントドミンゴ生まれ。アレグリア高から01年タイガースと契約。05年メッツ傘下に移籍し、同年メジャー初昇格。メジャー6年の通算成績は打率2割4分1厘、4本塁打、60打点。昨季はメキシカンリーグで66試合に出場し、打率2割9分5厘、11本塁打、41打点。ゴールドグラブ賞は3Aで3回、ドミニカで2回。尊敬する選手はオジー・スミス。家族は夫人と2男。178センチ、87キロ。右投げ両打ち。推定年俸は3000万円。

 ▼中日助っ人の開幕1軍争い

 野手はルナ、ゴメス、エルナンデスの3人で、投手はカブレラとパヤノの2人。外国人の1軍枠は4人のため、誰か1人が2軍に落ちることになる。現状で1軍確実はルナとカブレラだが、エルナンデスも仲間入り。残る1枠はゴメスとパヤノの争いだが、実戦の本塁打などパンチ力をアピールしているゴメスが優勢。今後の中継ぎ事情も影響するが、結果を残せていないパヤノは猛アピールが必要になりそうだ。