<オープン戦:阪神3-2DeNA>◇11日◇甲子園

 虎にニュー神様降臨!!

 阪神がようやくオープン戦初勝利を収めた。主役はベテラン関本賢太郎内野手(35)だ。同点に追いつかれた直後の8回に代打で登場し、左中間席に豪快な勝ち越しソロアーチ。長らく「代打の神様」と称された桧山進次郎氏(日刊スポーツ評論家)が昨季で現役引退。その後継者として期待に応えた。オープン戦連敗は7でストップ。気分一新で再発進しまっせ!!

 窮地で頼れる存在だからこそ「神様」とあがめられる。プロ18年目のベテランが“緊急事態”に大仕事をした。8回、同点に追いつかれた直後の攻撃で和田監督が動いた。1死後「代打関本」を告げる。その初球だった。加賀美の外寄り甘めの直球を迷わず強振。バットの先端だったが、パワーで負けない。白球は高く舞い、左中間フェンスを越える。理想的な勝ち越し弾で白星をたぐり寄せた。

 関本が「代打の神様」の金看板を背負う。初戦は引き分けだったものの、これまでオープン戦は12球団唯一の未勝利で7連敗を喫していた。負の連鎖を断ち、和田監督も「とっておきの、というか、ここ一番で出てくる選手だから」と頼る。不動の代打の切り札だった桧山進次郎氏が現役引退し、生え抜きの35歳が後継者の最右翼に浮上。まるで、新神様の襲名弾だったが、それでも関本自身に気負いはない。「連敗脱出の…」と問われるとサラリと言った。

 「俺、あんまり(1軍に)おらんかったもん…。感触は良かったけど、本塁打かどうか分からなかった。センターフライと思った。走っていてビックリだね」

 今春は若手中心の高知・安芸でキャンプイン。2月1日、キャッチボールをしていると掛布DCが近づいてきた。現状を気にかける大先輩に「サードのレギュラーをとって挑戦したい。そういう気持ちを持っています!」と誓いを立てた。

 志を高く持ち、打撃動作の改造にも取り組む。昨季よりスムーズなテークバックに変更。「無駄な動きが多すぎるのは分かっていた。他の人より特殊な打ち方だからね。シンプルに行きたい」。ゆとりを持って間合いを図るために工夫した。

 連敗脱出のヒーローは事もなげに言った。「俺にホームランの感触とか聞かんといて!

 調子はいい。珍しく、この時期にないくらい」。確実に勝ちを刻むため、勝負強いピンチヒッターは欠かせない。経験豊富な背番号3が、虎に14年初白星を運んできた。【酒井俊作】

 ▼虎の新「神様」候補

 関本は、昨季限りで引退した桧山氏が「ベンチを任せられる」と期待する。新井貴とゴメスの一塁、新井良と今成の三塁争いでは、ベンチスタートになる選手が勝負どころで代打起用されることが想定される。定位置奪取に燃える上本は、パンチ力のある打撃も魅力。2軍では打撃センス抜群のベテラン日高もいる。伊藤隼や森田、西田、狩野も代打枠からの1軍定着を狙う。