<オープン戦:日本ハム8-0西武>◇12日◇札幌ドーム

 佑ちゃん、残った。日本ハム斎藤佑樹投手(25)が「直接対決」で執念の好投を見せた。開幕ローテーションを争う上沢と西武戦に同日登板。ライバルの5回無失点快投を受け、6回から2番手でマウンドへ。毎回、先頭打者の出塁を許しながら、4回無失点と譲らず完封リレーで競演した。キャンプから続く激闘の決着は開幕直前まで持ち越し。目指す2年ぶり1軍スタートへ、希望の光はまだ消えない。

 これが勝負どころを知る斎藤の強さだ。重圧を、はねのけた。最終盤を迎えた開幕ローテ争い。ライバル上沢が5回無失点で降板した直後のマウンドで4イニング「0」を並べた。

 斎藤

 ずっと0が続いていたので、次の点を取られちゃいけないと思った。僕の投球をしようと。今日はもう終わったので次に生かしていきたい。

 徳俵で踏みとどまり、結論は持ち越された。

 経験も実績も、自分の方が上。意地もあった。最初の6回。先頭の栗山に、この日最速143キロ直球を中前に痛打された。いきなり走者を背負ったが「いい球と悪い球がはっきりしてきた。ちゃんと使い分けられれば大けがはしない」。冷静な自己分析で、落ち着きは失わなかった。続く熊代を外角低め直球で見逃し三振に仕留めると取り組んでいるシュートにカットボール、ツーシームを駆使し、後続を断った。

 置かれた立場は、理解している。前日11日の最終調整。上沢とそろって入ったブルペンには、栗山監督の姿もあった。グラウンドと投球練習場が離れている構造の札幌ドーム。指揮官がブルペンに足を運ぶのは、異例のことだ。「そのときに調子のいい投手がローテに入るのは当然のことですし、入れなくても、チャンスはすぐに回ってくると思う。準備をしておくことしかできない」。競争意識はあるが、決めるのは首脳陣。雑念を遮断し、自分の投球にだけ集中している。

 次回登板は18日のイースタン教育リーグ西武戦(西武第2)。上沢(翌19日同戦)も2軍で登板する。栗山監督は「(開幕ローテ入りの)可能性はある。少ない登板数の中で結果を残しているんだから。どちらも評価はしている。状況が違うから比較対象にはならない」と明言を避け、来週の登板を“最終試験”の場にする考えだ。

 わずか42球で終えた試合後、斎藤はブルペンで約20球を投げた。「バランスを整えておこうと。開幕が近くなってきているので、いいところは継続して、反省するべきところは反省して次につなげていきたいです。早く開幕が来てほしいなと思います」。右肩関節唇損傷から奇跡のカムバックを目指す1年。もう闘うのは自分自身ではなくなった。上沢とのがっぷり四つの戦い。運命の開幕は、目前に迫っている。【本間翼】

 ◆日本ハムの開幕ローテーション展望

 開幕投手は吉川に内定。実績のある武田勝と8日阪神戦で好投した大谷、メンドーサを含めた4人までが確実になった。5、6人目は2軍調整中の木佐貫が実績で優位には立つが、この日の斎藤と上沢の好投で混沌(こんとん)としてきた。栗山監督は結果を重視する方針を打ち出しているだけに、その基準に基づけば斎藤と上沢の2人とも先発陣6人に滑り込む可能性は十分にある。9日オリックス戦で好投した新人浦野もダークホース的存在だが、中継ぎの適性もあるだけに、首脳陣は起用法を熟慮することになりそうだ。