爽やか愛に、巨人愛の強さが隠されている。チームは14日、ヤフオクドームで今日15日のオープン戦ソフトバンク戦に向けて調整。練習前には体操の元日本代表の田中理恵(26)との交際報道が出た坂本が円陣で仲間からイジられた。ほのぼのとした光景に中日から移籍してきた井端弘和内野手(38)が伝統球団の強さを感じた。中日一筋だったベテランが巨人の力に潜入する。

 仲間なら見て見ぬふりはしない。体操界のアイドル田中理恵との交際報道が出た坂本を輪の中に受け入れた。阿部は昨年5月の西武戦の始球式で田中が見せた左足を高々と上げるフォームを再現。円陣を組んだ原監督は「勇人、決意表明をしろ」と水を向けた。ムチャ振りに坂本は「そっとしておいてください」と頭を下げ、笑い声が広がった。

 ホットな話題にみんながノリノリだった。何げない光景に新加入の井端は着眼した。「グラウンドを出ればプライベートはある。でもユニホームを着れば、みんな1つの仲間になる。ああやって話題を共有して雰囲気が高まる。だからチャンスの場面でみんなが乗って強い」と説いた。

 井端は中日から移籍以来、秘密を探っていた。「今まで巨人を倒すために一生懸命やってきた。今度は中に入ることで、巨人の強さの極意を研究できることが一番の楽しみ。CSとか、絶対に負けられない試合で勝っていた。ここ一番で力を出すことができる理由があるはず」。中日の強さも知る男は、思わぬ転機で宿敵だった巨人の一員となった。秘密を知ることは今後の野球人生にも糧になる。そして強さの一因が、この日の円の中にあった。

 新顔を気遣う心も、巨人の空気だ。「みんな気を使ってくれる。中日は自主トレ中は気を使うけど、キャンプに入ると自主性に任せる感じ」。2月23日の楽天戦。サヨナラ打に対し公式戦さながらに水をかけられた。中日時代のオープン戦にはない経験に「同じ年の由伸(高橋)が二塁から一生懸命走ってくれた。それも驚いたけど、うれしかったですね」と目を細める。

 厳しさもあり、愛もある。12日ロッテ戦では2打席連続で三振を喫し交代した橋本は翌日13日もスタメン予定だった。「チャンスがすぐに与えられる。後は選手がどう考えるか」。オープン戦6連勝中と好調で開幕を目前に控える。「巨人の強さは入ってすぐに分かった」。井端が巨人の強さの神髄を見た。【広重竜太郎】