絶好調の高卒5年目が苦しむ阪神打線の起爆剤になる。井上広大外野手(22)が、10日DeNA戦(横浜)で今季初昇格。岡田彰布監督(66)が昨季の最多勝左腕、東撃ちの刺客として即スタメン起用する方針を明かした。チームは先の広島2連戦で1得点に終わるなど再び貧打モードに陥り、2位巨人に0・5差に迫られて首位陥落の危機。2軍で打率3割4分4厘、4本塁打を誇る右の大砲候補に、打開の期待をかける。

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「使う、使う。使わんと」。岡田監督も波に乗る若虎に期待せずにはいられなかった。10日からのDeNA3連戦を前に、新大阪駅で取材に対応。新幹線に乗り込む前に「おお、井上、上がる、上がる」と高卒5年目の右のスラッガーの今季初昇格を明言。「打つやつおれへんもん」と沈む打線の起爆剤に指名した。「調子ええわけやからな。ええ時に使いたいよな。いい結果出してほしいよ」と10日に即スタメンで起用する方針だ。

井上は1軍キャンプでスタートしたが、3月中旬に左肩肉離れも発症して開幕から2軍。だが4月中旬の実戦復帰後、好調を維持している。ウエスタン・リーグで主に4番を任され、スタメン25試合で打率3割4分4厘、リーグトップの4本塁打をマーク。直近では7日の同広島戦(由宇)から2戦連続で猛打賞の活躍を見せた。高打率をキープする姿に指揮官も「ノーステップ打法が身についてきたんやろ」と、打撃改造の成果を感じている。

首位を行くチームは前カード、本拠地甲子園で広島に連敗。2位巨人に0・5ゲーム差に迫られ、10日にも陥落危機にある。特に打線は7安打完封、4安打1得点と元気がない。8日は肝心の3~6番が無安打で、岡田監督は「こんなんで勝つのは無理」と顔をしかめた。そこで井上だ。

指揮官は「東、初めてやけどなあ。ちょうどええやん、使うても」ときっぱり。昨年リーグ最多勝を挙げた東に向けて矢を放つ。阪神は昨季、3度の対戦で0勝2敗、防御率0・78に抑え込まれた。井上はプロ初対決だが、2軍での好調をそのままぶつければ、打線が勢いづくはずだ。

開幕から1カ月、ようやく出番が回ってきた井上も気合十分だ。「もういつも通りやれれば。上に行ったからどうというのは、ないようにしたいなと思います」。ファームで培ったのは強固なメンタル面。「1打席1打席、打てなくても引きずらないことが一番変わったと思う。上でも引きずらないようにして結果を出せるように」。地に足をつけて東を撃つ。若き主砲で打線をテコ入れし、猛打爆発といきたい。【磯綾乃】

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