<オープン戦:中日5-5楽天>◇21日◇ナゴヤドーム

 ヤマタケ金言で復活だ。打撃低調だった中日平田良介外野手(25)が、オープン戦2打点目の中越えのタイムリー三塁打を放った。楽天戦(ナゴヤドーム)で引退試合に臨んだ山崎武司内野手(45=野球評論家)からもらった助言が大きなヒント。4番の一打が終盤5点ビハインドを追いつく景気づけになった。元4番のヤマタケ魂を引き継ぐ新大砲がVけん引を誓った。

 真っ先に報告したい人がいた。平田はベンチに戻ると、山崎とガッチリ握手を交わした。「山崎さんの前で、いいところを見せられてよかったです」。7回無死二塁。ファンミルの147キロ真っすぐを捉えた打球は、中越えの適時三塁打になった。4番のお目覚めで勢いづいた打線は終盤で5点差を追いつく猛攻だ。だがその1本は山崎の助言なくして出なかった。「試合前に相談していたので」。感謝のフルスイングだった。

 山崎が球団と異例の1日選手契約を結んだ引退試合。オープン戦全13試合で4番を任されながら1打点だった平田は迷わず、チームメートに復帰した大先輩に歩み寄った。「打球が上がらないんです」。答えは明快。「球を迎えにいっている。自分のポイントで打てば自然と上がる」。好機で打ちたいと焦り、上体が前に突っ込んでいた。金言を胸にフォーム修正し、復活の大三塁打が出た。「久しぶりに持ち味が出せました。山崎さんの言葉を参考にいい打球が打てました」。平田の目は輝いていた。昨年までの2年間、多くのことを教わった。「特に打席での頭の使い方や配球です。野球人生が勉強になりました」。来た球を打つスタイルだった。だが野村克也監督の「ID野球」を学んだ山崎の理論で考え方が一変。安定した数字を残せるようになった。だが初の開幕4番が確実となり、重圧からか体が頭と体が違う動きになっていた。

 山崎も4番の系譜を継ぐ筆頭と期待している。「同じ右の大砲だからね。ずっと気になってる」。重みは人一倍知る。だからこそ“選手山崎の最後の助言”にも力がこもった。「4番はチームの顔ぐらい大切。品格も求められる。でも悪い時ほど見られている。腐らず黙々と乗り越えて真の4番になっていく。徐々に作り上げていってほしい」。

 山崎の1日復帰がなければ、低調なまま開幕を迎えていたかもしれない。聞きにいった平田の行動力もすごいが、野球の神様もいる。「期待してもらってる。山崎さんの思いをしっかり引き継いでいきたい」。不屈のヤマタケ魂を胸に新4番がV奪回に臨む。【松井清員】