<オープン戦:広島5-11ソフトバンク>◇23日◇マツダ

 ソフトバンクが2戦連続2桁安打&得点を挙げ、オープン戦新記録の13連勝でフィニッシュした。昨年のチーム本塁打王、松田宣浩内野手(30)が待望の1号ソロを含む、4打数3安打2打点。下位打線から得点可能なつながる14年型打線は選手会長の“1本締め”で完成した。28日の開幕ロッテ戦へムードは最高だ。

 試合前の円陣で「俺がやる。」と今年のスローガンを叫んだ松田会長が、やった。5回に左翼へ1号ソロ。「最後に1本出ると気持ちが違うし、うれしい。自分の形を作りたかったので何とかいい感じでいける」。二塁打、三塁打もかっ飛ばした。サイクル安打のかかった最終打席は二ゴロでも、待望のアーチと猛打賞で締めくくった。「みんな高い意識を持って攻撃し、守れる。意識の高いチームがオープン戦でできた」。

 チーム打率の3割2厘、15本塁打、36盗塁、総得点108は12球団トップ。19試合で2桁安打は11度。「どこからでも点が取れる。昨日は6、7番、今日は4番が打たなくても点が取れたね」と藤本打撃コーチ。オフ最大の補強は打点を稼げる李大浩だったが、完成した14年型打線は、よくつながり、下位からでも得点できる進化をみせた。

 なんと打順別打率は9番の3割7分7厘が最高で、次に2番が3割5分8で続く。出塁率もしかり。得点数は7、9番が最多16点となっている。この日は2回に長谷川から打者8人で4点、4回も7番柳田から6人で3点を挙げた。おまけに4回まで1残塁で8得点という効率の良さで、秋山監督は「いい形なんじゃない。打つ方は上がってきている」と満足げ。小川ヘッドコーチも「本当にいい攻撃ができた。バントも犠牲フライも」とうなった。この試合だけで、3犠打4犠飛。オープン戦の17犠打は12球団トップ、9犠飛も巨人と並んでトップだ。

 4番李大浩が無安打でも圧勝した。藤井打撃コーチが「相乗効果はあると思う。デホも今日は悔しがっていたし」と話すように、すべてがかみ合った時の破壊力は底知れない。あらゆる攻め手を備えた打線において、1、2、9番だけは試合ごとに“異動”がある。例えばロッテとの開幕戦は、先発が有力な成瀬と相性のいい本多(昨年対戦打率4割5分5厘)を用いるなど、先発投手に応じてローテーション。相手球団が決して望まない“フィーリングカップル”でぶつかる。

 13連勝の新記録で制したオープン戦はもう過去のこと。目指すは日本一。秋山ホークス初となるBクラスから本気の逆襲がまもなく始まる。【押谷謙爾】