<楽天1-7オリックス>◇2日◇コボスタ宮城

 デビュー戦はほろ苦い味だった。楽天ドラフト1位松井裕樹投手(18)が2日、本拠地コボスタ宮城で行われたオリックス戦でプロ初先発。初回から制球が定まらず、試合中に修正を試みるも6回を5安打5四死球、3点を失って降板した。平日デーゲームでは球団史上最多の2万1861人が来場したが、公式戦初登板で負け投手となった。強心臓ルーキーも「緊張しました」と振り返ったように、プロの洗礼を悔しがった。

 松井裕がプロ入り後、初めて口にした感情だった。「悔しい。正直緊張しましたし、思うような投球が出来ませんでした」。西日が差し込む三塁側ベンチで下唇をかむしかなかった。ぼうぜんと、自分の降りたマウンド見つめた。

 1回。オリックス先頭のヘルマンにいきなり左前打を浴びる。3番糸井の打席で二盗を許した。さらに、4番ペーニャの打席で三盗を決められた直後だった。フルカウントからの6球目。この日最速の内角148キロ直球を左前へはじき返され、先制点を与えた。力勝負を挑んだが「自分が負けました」とうなだれた。

 平日デーゲームでは球団史上最多の観衆が訪れた。前日までは「多くの方々の声援を力にしたい」と心待ちにした。しかし、本拠地の雰囲気は想像を超えていた。えんじ色に染まったスタンドに、初めて聞くコブクロの入場曲。「緊張はオープン戦と変わらなかった」と強がったが、力みから5四死球と制球は乱れた。

 2回には「ワインドアップで力が伝わっていない気がした」と無走者でもセットポジションに変更。バランスの悪さを改善しようとした。感覚が戻り、3回からはワインドアップに戻すなど、できることは全てやった。

 準備は万全だった。長い遠征を終え、練習量も増加。走り込みや体幹トレーニングで体重は2キロ増えた。特に下半身が大きくなり、増した球威に手応えを感じていた。開幕直前に社会人との練習試合で本拠地のマウンドも経験し、「本当に投げやすい。コンディションも良いし、0に抑えたい」と自信をのぞかせていた。だが、敗戦投手となった。「多くの方の歓声は聞こえていた。期待に応えられず申し訳ないです」と悲しそうにつぶやいた。順調だったからこそ「悔しい」の一言が口をついた。

 星野監督は「楽しみは楽しみだね。こういう経験を生かして、成長してほしい」と期待した。松井裕は「6回3失点という数字を見れば普通。でも内容が悪かった。課題はランナーを出したときのコントロール」と言った。ほろ苦い112球の初登板。悔しさをバネに、次は勝利をつかむ。【島根純】