<広島4-3ヤクルト>◇2日◇マツダスタジアム

 広島が延長12回、堂林翔太内野手(22)のサヨナラ本塁打で首位タイを守った。引き分け目前の延長12回1死、ヤクルト守護神バーネットの失投を見逃さず、右翼席に殊勲弾を運んだ。初登板初勝利こそ逃したが、ドラフト1位の大瀬良大地投手(22)も7回5安打2失点と好投。投打の若手が躍動し、21年ぶりの開幕2カード連続勝ち越しを決めた。

 堂林が劇的サヨナラ弾で4時間38分の死闘に終止符を打った。「自分で決めてやるという気持ちだった。打った瞬間、いくと思った。速球一本に絞っていた」。同点の延長12回裏1死、フルカウントからバーネットの外角直球を右中間席へ。1号決勝弾は今季7打席目での初安打でもあった。

 「最高です!

 やっと僕の中で開幕できました」。三塁で先発した開幕戦で4打数無安打3三振。不振に苦しんで4試合連続スタメン落ちしていたが、途中出場で自身通算2本目のサヨナラ弾だ。休日も含め、3日連続で練習前の早出特打を敢行した努力が実った。

 試合前練習中、三塁ノックの打球がイレギュラーして右耳直撃。出血をガーゼでとめて試合に臨んだ。「ある意味、当たり日ですね。現実に戻ると痛いです」と照れ笑いだ。新井打撃コーチから「どこでも当てたら入るから、打つ方向を決めるな」とアドバイスを受け、右方向への値千金弾。堂林は「やっと力になれた。これからチームに貢献していきたい」と高らかに宣言した。

 プロ初登板となったドラフト1位の大瀬良も力投した。立ち上がりからストライクを先行させ、最速148キロを記録した直球は低めに伸び、変化球の制球、キレも上々。勝ち投手の権利を持って降板し、7回5安打2失点のデビュー戦なら、誰も責められない。「今日はこれまでのオープン戦や練習と比べて、真っすぐ、変化球ともに感覚が良かった。野手の方の守りにも助けていただいて、粘り強く投げられた」。地元長崎から大応援団がバスを貸し切り駆けつけた。父禎弘さん、母さつみさん、弟元気さん、友人ら約30人の前で堂々の初マウンドだった。【佐井陽介】