<広島4-3ヤクルト>◇2日◇マツダスタジアム

 広島ドラフト1位の大瀬良大地投手(22)がデビュー戦となったヤクルト戦で7回5安打2失点と好投した。勝ち投手の権利を持って9回を迎えたが、守護神ミコライオが1点差を追いつかれて初勝利はならず。それでも延長12回に堂林の1号ソロでサヨナラ勝ち。中田が2年ぶり白星をつかみ、21年ぶりの開幕2カード連続勝ち越しを決めた。

 大瀬良は「あ~!」と口を開け、ライナーの行方を見守った。勝ち投手の権利を持ち、1点リードで迎えた9回表1死満塁。ミコライオが代打森岡に右前同点打を浴び、一塁ベンチで思わず天を仰いだ。それでも笑顔は消えなかった。

 「今日はこれまでのオープン戦や練習と比べて、真っすぐ、変化球ともに感覚が良かった。野手の方の守りにも助けていただいて、粘り強く投げられた」

 プロデビュー戦は驚くほど落ち着いていた。立ち上がりからストライクを先行させた。最速148キロを記録した直球は低めに伸び、変化球の制球、キレも上々だった。2点リードの6回2死一塁で4番バレンティンに右中間席まで同点2ランを運ばれたが、7回5安打2失点は誰も責められない内容だった。

 中学2年の秋、右肘を痛め、本気で左投げ転向を目指した。「左手で箸を使ったり、文字を書いたりして、指先を鍛えていましたね。(当時ソフトバンクの)杉内さんのフォームも勉強しました」。中学3年になると左で80メートルを投げ、一塁手で試合に出たこともある。それでも投手の道を諦められず、同年9月に手術。あれから8年、投げられる喜びを感じ、チタン型スクリューが埋まったままの右肘を振っている。

 この日は大応援団がバスを貸し切り、球場まで駆けつけていた。父禎弘さん、母さつみさん、弟元気さんら親族だけにとどまらず、友人なども含めた約30人が午前8時に地元・長崎を出発していた。学生時代はダウン症を抱える元気さんにハイタッチして試合に臨むと、好成績に結びつくことが多かった。「ずっとパワーをもらっていた。これからは僕がパワーを与えないと」。宣言通り、周囲に勇気を与えるハツラツ投球だった。【佐井陽介】