<広島2-1DeNA>◇4日◇マツダスタジアム

 首位はゆずらん!

 梵英心内野手(33)のサヨナラ1号ソロで、広島が延長11回の戦いに決着をつけた。1-1の投手戦、最後は新選手会長が決めた。2日の堂林に次いで、球団史上初の2試合連続の延長サヨナラ本塁打で首位巨人に並走。やはり今季のカープは強い。

 厳しい寒の戻りで冷え切ったマツダスタジアムが一気に燃え上がった。延長11回。ファンの脳裏に浮かび始めた引き分けムードを、昨オフから選手会長に就任した梵が吹き飛ばした。DeNA菊地のスライダーをとらえた当たりは左翼席へ豪快に飛び込むサヨナラ1号ソロ。打った瞬間、それと分かる当たりにスタンドは沸きに沸いた。

 「どうやって打ったか分かりません。めちゃくちゃな打ち方だったようにも思います。サヨナラなんて野球を始めてから記憶がないです。帰って(VTR映像を)ゆっくり見たい。一生の思い出にします」

 梵にはひそかな思いがあった。同僚の堂林の存在だ。不調の中、2日のヤクルト戦でサヨナラ本塁打をかっ飛ばした。自身はサヨナラ安打すら記憶がなく、スター性を誇る後輩の姿に「ああいう星の下に生まれていないからな…」と思っていたという。

 それが、わずか1日を挟んで、自身にチャンスが巡ってきた。狙っていたわけではないが「当たればなんとかなる」と思った一打が2試合連続サヨナラ弾だ。

 今秋で34歳。両膝に不安を抱えながら日々を送る。今季は社会人NO・1野手の評判を持つルーキー田中が入ってきた。実績を誇る梵の立場が揺るがされることはないものの、状況が厳しくなっているのは間違いない。

 寒い中、選手たちに追いかけられ、水をかけられ、「もうやめてくれ!」と笑顔で叫んだ。「グラウンドに立てば選手としてプレーしていますから」という選手会長は、もちろん、立場は分かっている。「勝利に向かって、若い力と僕らの力をミックスできればいいと思います」。梵の言葉が真実味を帯びるだけのムードが、今の広島にはある。【高原寿夫】