<巨人1-4広島>◇8日◇東京ドーム

 開幕早々にコイの季節がやってきた。広島が、同率首位で迎えた巨人との直接対決を制し、単独首位に躍り出た。先発の野村祐輔投手(24)が、6回を6安打1失点の好投で今季2勝目をマーク。プロ3年目で巨人戦の初勝利となった。2番手では大竹の人的補償で巨人から移籍した一岡竜司投手(23)も、1回をピシャリ。昨年クライマックスシリーズ(CS)に初出場した若鯉たちが、今年も強さを発揮している。

 野村が東京ドームで笑った。1点リードで迎えた5回1死三塁のピンチでは、代打矢野、1番長野をチェンジアップで連続三振に仕留めた。6回83球で6安打1失点。今季2勝目だが、プロ3年目でうれしい巨人戦の初勝利だった。

 野村

 うれしいです。去年この球場で悔しい思いをした。去年はここで2度も胴上げを見ている。今年こそはと思っていた。

 巨人のリーグ優勝が決まった9月22日は、東京ドームでの広島戦だった。CSファイナルステージ第3戦は野村が4回2失点で負け投手となり、チームの敗退が決まった。昨季巨人には8勝14敗2分け。5年連続で負け越している。CSでも3戦全敗。ただ、CSを含めた全17敗の内訳は1点差負けが8試合、2点差負けが3試合。逆襲は十分可能だと踏んでいた。

 打倒巨人が合言葉になった。松田オーナーが「巨人に勝たないかん」と力を込めれば、野村監督も1月のスタッフ会議で「3位からステップアップするためには、巨人に勝ち越さないといけない!」と熱く号令をかけていた。シーズン序盤とはいえ、巨人に勝っての単独首位は意味が大きい。

 昨年11月、宮崎・日南キャンプ。フリー打撃でマウンドに上がった野村に指揮官が歩み寄り、2人で言葉を交わした。「ゼロに抑えるのが一番だが、それが強すぎると5、6点取られる時が出てくる。このケースは点を取られても仕方がないと割り切って、打線を信じて投げてほしい」。その教え通り、この日も野村はその通りに試合を作ることに徹した。

 昨年までは「打たれたらボコボコにいかれることが多かった」と言うが、この日は再三のピンチに粘った。「直球がいまいちだったので変化球主体にしました」。スライダー、チェンジアップに加え、新球シュートも効果的に使った。若鯉は確かに成長している。

 野村監督は「今日はいい戦いができた。明日も笑顔になれるように戦っていきたい」と冷静に次戦を見据えた。今日9日は大瀬良が先発。黄金ルーキーのプロ初星で、一気に巨人を突き放したい。【佐井陽介】

 ▼広島が巨人を倒して単独首位に立った。広島が開幕9試合で7勝したのは93年以来になる。野村監督は就任5年目だが、過去4年の東京ドームの成績は10年2勝7敗、11年2勝9敗1分け、12年1勝9敗、13年3勝8敗1分けで、過去4年の通算成績が8勝33敗2分けの勝率1割9分5厘。東京ドームは苦手な球場で、初めて東京ドームのシーズン初戦を白星で飾った。