<阪神5-6DeNA>◇8日◇甲子園

 やられたら、やり返す。阪神マウロ・ゴメス内野手(29)が初登場の甲子園でも見せた。5回、1点を先制して、なお1死一、二塁。DeNA先発久保の直球をとらえた。打球は三塁線を破るタイムリー二塁打。これで開幕から10試合連続安打。歴代助っ人の中でも最長記録となった。

 「前の2打席でやられていたけど、シンプルに考えて、打てる球がきたら積極的にスイングしようと思っていたよ」

 第2打席までは久保に手玉に取られた。第1、第2打席ともにフルカウントからボール球になる変化球を振らされた。スライダー、フォークに2打席連続でバットが空を切った。相手は四球覚悟でボール球を投げてきた。だが、生粋の主砲であるゴメスはこういう場合の対処法を心得ていた。

 「アメリカにいた時からフルカウントからスライダーや、チェンジアップを投げてくる投手はいたよ。初めてのことではない。見逃せばいいだけ。あれは打ってはいけない球に手を出してしまった」

 5回の3打席目、ゴメスは変わった。初球、2球目と外へ逃げるスライダー、フォークを見極めた。2-1と自分有利のカウントに持ち込んでから中に入ってきた速球を仕留めた。やられっぱなしでは終わらない。1試合の中で変化していける能力を見せつけた。

 6連戦を終えた前日の休養日は、来日している弟と神戸市内で食事をしてリラックスしたという。英気を養って迎えた本拠地甲子園での初ゲーム。試合直前にはアルプス脇の通路に出ていきそうになった。

 「ベンチはどっち?」

 関係者に訪ねながら、たどり着いた。ドミニカンにとっては、まだわからないことだらけだ。だが、ひとたび打席に立てば、迷いはうかがえない。

 「球場の素晴らしい雰囲気を感じることができた」

 8回には代わった高崎の初球を打って、追い上げのタイムリー。聖地の虎党へ、あいさつ代わりの2本だった。敗れはしたが、猛虎には頼れる4番打者がいる。【鈴木忠平】

 ▼ゴメスが今季初の甲子園で5回に適時二塁打。開幕からの連続試合安打を10に伸ばし、阪神の外国人選手では06年にシーツが記録した9試合を抜き球団新記録となった。