<日本ハム5-2楽天>◇9日◇札幌ドーム

 またしてもプロ初勝利はお預けとなった。楽天のドラフト1位ルーキー松井裕樹投手(18)が先発。プロ2度目のマウンドに上がったが、3回1/3を投げ、3安打2失点で敗れた。7三振を奪うも、5四球を出すなど制球が定まらなかった。前日には硬いマウンドを気にしていたが、適応出来なかった。これでチームの連勝は2で止まり、自身は開幕から2連敗となった。

 ショックは大きかった。大勢の報道陣に囲まれた松井裕は口をきつく結び、質問に沈黙した。うつむき、1度も立ち止まることなく、バスへと乗り込んだ。

 独り相撲だった。4回。日本ハム先頭西川に四球を与えた直後だった。中田への4球が全てすっぽ抜けた。捕手嶋が目いっぱい左腕を伸ばして捕球しなければならないほど、高く浮いた。この回だけで4四球。逆転打も浴び降板すると、ぼうぜんとベンチから動けなかった。球団広報を通じて「情けないです。4回に生命線の直球が入らなくなり、マウンド上で修正できませんでした」とコメントするのがやっとだった。

 なぜ、制球を乱したのか。理由として考えられるのが、敵地のマウンドだ。登板前日「傾斜もあって、全球場でトップクラスで硬い」と警戒。コボスタ宮城のマウンドでは、くるぶし付近まで深く埋まる右足の着地点が、札幌ドームでは掘れなかった。きつい傾斜に右足で体重を支えきれず、投球後にバランスを崩す場面もあった。投球間に何度も足元を気にして、持ち味である豪快さが消えた。

 あまりの乱調に、星野監督は「あんなピッチャー初めて見た。言い訳もクソもない。(マウンドの高さが)50センチも60センチも違うわけじゃないんだから。あんなに高くいったら、嶋もリードのしようがない」と苦笑した。これまで、マウンド度胸や投げっぷりを高く評価してきた。もっとも嫌う四球絡みの失点だけに、初めて突き放した。

 一方で、1回2死一塁では、素早いけん制で一塁走者の飛び出しを誘い、ピンチを防いだ。デビュー戦のオリックス戦では、同じ1回にクイックやけん制のスキを突かれ、3盗塁を許した。1週間で1つの課題はクリアしたが、この日、新たな課題が出た。順当なら、次回は16日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に先発する予定。無言の悔しさを、三度目の正直で晴らすしかない。【島根純】