<日本ハム5-2楽天>◇9日◇札幌ドーム
日本ハムが、黄金ルーキーを攻略し連敗を5で止めた。9日の楽天戦(札幌ドーム)で、ドラフト1位左腕の先発松井裕を4回途中でKOした。栗山英樹監督(52)はスタメンに右打者7人を起用。ボールの見極めを徹底し、宝刀スライダーとともに自信を持つチェンジアップを捉えた。3安打に抑えられたが、周到な準備に加え、四球も絡めた効果的な攻めで攻略に成功した。
全国が注目する一戦に、勝った。連敗も5で止まった。栗山監督は「勝ったり負けたりしながら成長するのがプロ野球のペナント(レース)。1つ勝ってよかった」。まずは安堵(あんど)した。
対戦したのは、楽天松井裕であって、甲子園を騒がせた松井裕ではなかった。試合前のミーティング、1試合22奪三振の記録を作った松井裕の“残像”を消した。勝負の分水嶺(れい)になったのは4回。だが、攻略の先鞭(せんべん)をつけたのは、2回の中田だった。ボールカウント1-1から、130キロチェンジアップを中前に運んだ。日本ハムスコアラー陣は選手に強く伝えていた。「松井裕はスライダーよりもチェンジアップに自信を持っている」。代名詞といえるスライダーよりも、警戒すべきはチェンジアップだと、意思統一されていた。
1点を追う4回。西川、中田が連続四球で歩いた。栗山監督は「ボールの見極めがポイントになると思っていた」。俊足の走者を背負ったことで、松井裕の制球はさらに乱れた。小谷野も四球で満塁。打席には、大引が立った。3球で追い込まれたが、頭の中は整理されていた。決めにきた126キロのチェンジアップ。右中間へおっつけ、逆転の2点適時二塁打とした。「チェンジアップが難しいというのは聞いていた通り。強引にいっていたら、三振していたと思う」。チームが一丸となり、“プロの意地”を見せた。
次回対戦で同じようにKOできるかは分からない。この日も松井裕からは、3安打したのみ。栗山監督も「プロ野球は長い戦い。やっつけられるときもある」と言う。それが、プロ野球の醍醐味(だいごみ)。だから、試合後の中田は、うれしそうだった。勝ったからではない。「強敵」が現れたことに、だ。
中田
久々にあんな変化球を見た。10代の子の投げる球じゃない。高校生が打てるはずがない。素直に、すごい。僕が偉そうに言えることじゃないけど、この先、ファイターズにとって邪魔な存在になりそう。
球史に刻まれる名勝負の系譜。全国が注目する一戦には、プロ野球の魅力が、凝縮されていた。【本間翼】



