<阪神5-1巨人>◇11日◇甲子園

 巨人は、今季初めて甲子園で行われた阪神戦に競り負けた。4回まで両軍無安打。原辰徳監督(55)が「1発が出るか、出ないかだった」と振り返ったそのままの、伝統の一戦の枕詞(まくらことば)にふさわしい空気が充満した。6回2死、巨人先発杉内俊哉投手(33)がマートンに3ランを打たれ大勢は決まった。両軍とも4安打、無失策のしのぎ合いだった。

 杉内と阿部のバッテリーは、老練な組み立てで阪神打線を欺いていった。1回に29球を費やすと、出来を見極めた阿部は、変化球を軸球に選択した。4回に相手が円陣を組むや狙いを見透かし、ストレート主体に転調した。阿部が「うまく裏をかけたんだけどな」と認めた通り、危険なコースに徹底してボールを入れず、5回まで被安打なしで折り返した。

 杉内が「もったいなかった」。阿部が「あの1球だけが」と悔やんだ6回。マートンへの3球目も、アウトローへ的確に制御された直球だった。直前にゴメスが選んだ四球も、並行カウントからストライクと判定されて不思議のない2球を続けていた。

 原監督は「杉内は、2回からテンポが良くなった。1点では難しいんだけど、相手に非常にいい守備をされた。いい当たりがゲッツー。最後も、すごい守備だった」と言った。中盤以降の6、8、9回、特にダイヤモンド近辺で球際に強い阪神を認めた。

 原監督も、阿部も、杉内も、実に淡々と1敗を振り返った。ハイレベルの攻防に紙一重で屈して、現実を受け止めた。

 10日に、ボールの反発係数が設定値より上回っていたことが判明した。杉内は柔、阪神先発のメッセンジャーは剛で、ボールの中身など関係ないと示した。数字の議論がいかに不毛で、つまらないことか。ライバル同士が証明してみせた。【宮下敬至】