巨人が、キューバのフレデリック・セペダ外野手(34)を獲得の最有力候補に挙げていることが18日、分かった。中南米を拠点としている球界関係者が明かした。セペダは両打ちの強打者で、同国代表として五輪に2回、WBCに3大会連続で出場している。キューバ政府は昨年9月、自国の選手が他国でプレーすることを公式に認めた。同国リーグが16日で終了したため、獲得への障害はない。セペダが巨人入りすれば、同制度を利用して初めて日本球界でプレーするキューバ選手となる。

 球界のパイオニアが、補強の枠を超えた歴史的な決断をする可能性が高まってきた。中南米に強いパイプを持つ球界関係者によると、巨人の関係者は3月下旬から複数回、キューバの野球リーグを視察。多角的に情報を収集してきた。その上で、キューバのトップ選手が国外でプレーすることを正式に認める可能性が極めて高いと判断し、WBCで活躍した日本にもなじみ深い選手を候補としてリストアップしてきた。

 関係者の話を総合すると、獲得の最有力候補に挙がっている選手はセペダだ。特有の柔らかさとパワーを兼ね備えている屈指のスイッチヒッター。16日に終了したキューバリーグでは、指名打者部門のベストナインに選ばれた。国際試合の経験が実に豊富で、WBCに3大会連続で出場。「赤い稲妻」の中軸を担い続けてきた。06年の第1回大会では、日本戦で本塁打。09年の第2回大会では打率5割、3本塁打、10打点でいずれもチームトップの成績を残した。13年の第3回では、現ヤンキースの田中から二塁打を放っている。

 セペダの巨人入りが実現すれば、日本球界にとって歴史的な出来事となる。

 59年のキューバ革命以降、キューバ選手が他国でプレーすることは禁止されてきた。しかし昨年9月、政府管轄のもと、期限を設けるなどの制約をつける形で、移籍を認めることになった。過去には、リナレスが特例として中日でプレーしたことがある。しかし今後、同制度を利用しての移籍が活発化すれば、世界の野球に大きな転換期が訪れる可能性が十分ある。日本球界のパイオニアである巨人がキューバ選手に着目することは、球界全体の発展を目的とした大局的な側面も大きい。

 チームには今、ロペス、マシソン、アンダーソン、セドンの4外国人選手が在籍している。開幕から順当に実力を発揮し、構想にガッチリ入っている。セペダを早急に補強する必要性は、補強ポイントと照らし合わせれば、そう高くはない。しかし「キューバ第1号選手」としてセペダ獲得が実現すれば、野球界全体の地図が劇的に変化するきっかけとなる。両国の野球が融合することで、レベルの発展をはじめとしたさまざまな財産を得ることもできる。交渉は最終局面にあり、近日中に一気にまとまる可能性が十分にある。

 ◆フレデリック・セペダ

 1980年4月8日、キューバ生まれ。11歳で世界少年野球(千葉)に参加。王貞治氏と写真を撮影。キューバ国内リーグではサンクティ・スピリティス所属。02年からキューバ代表入り。アテネ五輪金メダル、北京五輪銀メダル獲得。06年第1回WBC決勝で藤田(ロッテ)から本塁打。09年第2回大会では松坂、藤川から安打し、12安打、3本塁打、打率5割でベストナイン外野手。13年第3回大会は4番DH。WBC通算20試合、打率4割4分9厘、6本塁打、23打点。日本戦通算打率4割。178センチ、98キロ。右投げ両打ち。