<ロッテ4-0ソフトバンク>◇20日◇QVCマリン

 思わず感情をあらわにした。ロッテのドラフト1位、石川歩投手(26)は7回に鶴岡から見逃し三振を奪うとグラブをひとたたき。続く中村をシンカーで空振り三振に仕留めると、右拳を力強く握り締めた。普段は感情を面に出さない男の気合に満ちた姿。「気持ちが入ってましたね。思わず出ちゃいました」と照れ笑いを浮かべた。

 立ち上がりからフルスロットルで8回を4安打無失点に封じてみせた。「初回から気持ちを入れて投げました」という言葉通り、4球目に最速147キロをマーク。前日2打席連続アーチと絶好調の内川も146キロ直球で遊ゴロ。3者凡退の好スタートで波に乗った。全力投球が石川のスタイルだ。「自分にはうまく打たせて取る技術がない。1人1人全力でいった結果が、いい結果につながっていると思う」と言う。だからプロの壁にもぶつかった。オープン戦中、疲労の蓄積が影響し、直球が130キロ台まで落ちた。「しばらく見たことない数字。自分で驚いた」。シーズンを戦い抜くためにどうすればいいかを考え、開幕前に疲れを取りやすい高反発マットレスを購入。「(疲れを)ためないようにする」グラウンド外での意識も、ここまで4戦で29回2/3を全力で投げた体力を支えている。

 毎週日曜日の登板で2勝目。ロッテのサンデーといえば、“サンデー兆治”“サンデー晋吾”。「そうなりたいですね。呼んでもらえたらサンデー五右衛門ですかね?」。この日はお預けになった初完封。全力投球でつかみ取り、3代目サンデー男を襲名してみせる。【佐竹実】