<楽天2-1西武>◇22日◇コボスタ宮城

 気温10度の仙台の夜空に季節外れの“花火”が打ち上がった。1-1の延長12回2死。楽天アンドリュー・ジョーンズ外野手(37)が来日初のサヨナラ本塁打。引き分けを覚悟した1万7482人の顔を明るく照らした。西武豊田の109キロカーブを待っていた。「狙った球を我慢強く待って、1発で仕留めることが出来た」と、打球はあっという間にバックスクリーンに飛び込んだ。

 1点を追う8回にも西武牧田のスライダーを捉え、試合を振り出しに戻す4号同点ソロ。ここぞの場面で飛ばしまくった。毎試合プランを持って臨んでいる。狙い球を極端に絞り込むタイプのため、1試合のスイングは多くない。この日は下手投げの牧田を攻略するため、変化球に絞った。1、2打席目は内角のシュートに仕留められたが、狙うは緩く落ちる変化球。「プラン通り振ることが出来た」と同点弾とサヨナラ弾をニンマリと振り返った。

 試合前まで打率1割7分1厘と低迷。星野監督からは「身長より低い」と嘆かれていたが、焦りはなかった。この日も2打席連続空振り三振に倒れたが、その後、試合中にフォームを変えて復調のきっかけを待った。平石打撃コーチは「第3打席から構えが変わった。スッと立つ感じになった」と証言する。これまで軸足が沈み込み、バットが大きく弧を描いていた。真っすぐ立つように意識を変えたことで、最短距離でボールを捉え始めた。その打席で大ファウルを放つなど修正してみせた。

 今日23日は37歳の誕生日。試合を終えたのは22日の午後10時過ぎで「あと2時間後にちゃんと祝いしたいと思う」と人懐っこい笑顔が戻った。チームに今季初のサヨナラ勝ちという贈り物を残して、球場をさっそうと後にした。【島根純】