<楽天5-7西武>◇23日◇コボスタ宮城

 楽天松井裕樹投手(18)は、4度目の先発でもプロ初勝利を手にできず2軍降格が決まった。西武5回戦で1回に5四球で先制を許すなど、制球が定まらなかった。味方の援護がありリードで5回を迎えたが、逆転を許した。5回を投げて5安打8四球で5失点。敗戦投手にはならなかったが、試合後に星野仙一監督(67)が、2軍で一からやり直させる方針を明言した。

 松井裕の投球に、ついに星野監督の堪忍袋の緒が切れた。「5回まで投げさせて、勝利投手の権利をやりたかった。それが親心だった。もう1回ピッチングのABCからやってもらう。(チャンスは)もうないでしょう」と2軍落ちを明言。どれだけの期間を調整させるのかという問いには「ストライクが入るようになるまで」と突き放した。

 四球、四球、四球。またしても初回から制球難に苦しんだ。西武の先頭打者森本を歩かせると、みるみる表情がこわばっていった。心を落ち着かせようと何度も深呼吸をしたが、ボールは抜けた。続く木村をストレートの四球。3番栗山は打ち取ったが、その後も押し出しを含む3連続四球と1イニングに5つの四球を与えた。

 2回からは立ち直ったように見えた。4回裏に2点の援護をもらう。だが4-2で迎えた5回に落とし穴が待っていた。3番栗山に安打を打たれ、セットポジションでの投球に変わると再び制球を乱した。変化球はワンバウンドし、直球は高く浮く。西武渡辺に適時打を許し、なおも四球で満塁。ここで踏ん張れなかった。フルカウントからの7球目。143キロの直球は、置きにいったように球威がなかった。西武炭谷に右前打を許し、逆転。「野手の方々が点を取って助けてくれたのですが、悔しい」とがっくりと肩を落とした。

 降板後、2軍落ちと投球の感想を求められると「2回、3回のピッチングを続けていければいいと思う」と一言だけ話すのが精いっぱい。深夜0時過ぎに球場に置いていた道具など荷物を全て持ち、タクシーに乗り込んだ。「すいません。自分の課題は見えてます」と言葉少なだった。

 球団広報からは今日24日は休日に当てられると発表された。1日だけ心と体の休養を取ってから1軍再昇格に向けての練習を開始する。プロ4戦目でぶち当たった壁。見返すために、変わるしかない。【島根純】