<ヤクルト3-4中日>◇25日◇神宮

 涙の4年ぶり復活星だ。中日のプロ15年目朝倉健太投手(32)が10年6月22日横浜戦以来、1403日ぶりとなる勝利を挙げた。ローテーションの谷間に6回4安打2失点と踏ん張った。11年8月の右肘手術などで3シーズン勝ち星のなかった男が、崖っぷちからはい上がった。勝率5割に復帰したチームにとっても大きな1勝だ。

 ヒーローインタビューを受ける朝倉の目は真っ赤に充血していた。「チャンスをいただいた監督やコーチに感謝したい。(伝えたいのは)家族になると思います」と声が震えた。10年6月、浜松での横浜戦で挙げて以来。1403日ぶりに手にした白星に今にも涙がこぼれ落ちそうだった。

 スタートから飛ばしまくった。立ち上がりの3イニングがパーフェクト。ペース配分は考えず、がむしゃらに腕を振った。勝利投手の権利を得る5回には山田に中前適時打を浴びて2点目を献上。マウンドに来た友利投手コーチからは「冷静に抑えていこう」と胸をバシッとたたかれた。ギアをチェンジし、雄平を142キロ直球で遊ゴロに仕留めてピンチを脱出した。6回4安打2失点で、ブルペンにバトンをつないだ。

 暗く長いトンネルだった。11年8月には右肘を手術し、150キロを超える速球は出なくなった。「心が折れそうになったこともあった。本当に苦しかったので…」。手術した同じ月の29日に第3子となる長女が誕生した。その長女にお祝いのウイニングボールを渡すことができずにいた。

 昨年11月の契約更改では制限を超える60%減の年俸1800万円でサイン。その場で落合GMは「人生1度しかないという気持ちでやれ」。その言葉で吹っ切れた。オフにはリリースする際に手の甲が内側を向くイメージで肩の回転を意識するフォームに改造。スムーズな投球動作に現役最年長山本昌も「一番期待できるのは健太」と太鼓判を押した。ようやくトンネルの出口は近づいていた。

 朝倉

 チームに貢献することだけを考えてきたのでよかった。これからも投げろと言われたところで、しっかりと投げたい。

 三塁側ベンチ裏から出てきた谷繁兼任監督は、球場に鳴り響くインタビューの声を聞いて「良かったね」と笑った。先発の駒不足に悩まされていたチームは勝率5割に復帰。来週には9連戦も控えている。99年ドラフト1位右腕の力投は、まさに「すくい投げ」だった。【桝井聡】

 ◆中日朝倉の栄光

 東邦3年時の99年、春夏の甲子園に出場し、同年河内貴哉(広島)の外れドラフト1位で入団。3年目に11勝(11敗)をマークするなど、06年13勝(6敗)、07年12勝(7敗)、09年10勝(8敗)と4度の2桁勝利。07年は日本ハムとの日本シリーズでも勝ち投手になり、53年ぶり日本一に貢献。