<広島7-3巨人>◇25日◇マツダスタジアム

 勝てなければ、そしてHランプが点灯しなければ、何も残らない。試合後、バスに乗り込む前の巨人阿部慎之助捕手(35)の言葉がすべてを集約していた。「結果がすべてだから…」。首位攻防戦の第1ラウンドで広島の勢いを目の当たりにした。その中で阿部のバットも23打席連続無安打とのみ込まれた。

 いい当たりも放った。2回の右翼へのライナー性の飛球。8回の痛烈な二ゴロ。開幕前に首痛、開幕後に左ふくらはぎ打撲と体調がなかなか万全にならないが、打撃の質は悪くはなかった。川相ヘッドコーチも「状態も上がってきていると思う。いい当たりもあった」と認めた。だが球界最高峰の打者にとっては結果が最優先される。07年9月の24打席連続無安打の自己ワースト記録も迫り、結果が何よりも欲しい。

 阿部が不振でも、決して打線は低調ではない。1~3番は6安打をマーク。4番村田が下降線から抜け出せないが、3回には4安打を集中して3得点を奪う攻撃も見せた。今季初めて7番に打順を落とした阿部の前には最大でも走者は一塁だけで、打線が完全に寸断されているわけでもない。だが太陽のような存在の男が7番に座っていては、収まりがいいはずはない。

 原監督は「何とか打破してもらわないと」と脱出を待つ。言葉少なだった阿部はバットを手に、宿泊先へ戻った。前日24日の練習日も居残りで特打を行った。トンネルから抜け出すために、最善を尽くすしかない。【広重竜太郎】

 ▼阿部が17日ヤクルト戦の第4打席から23打席連続ノーヒット。阿部にとって20打席以上の無安打は06年9月18~28日の21打席、07年9月6~13日の24打席に次いで3度目となり、自身ワーストにあと1打席と迫った。打率はちょうど2割。10試合以上出場して打率1割台は08年5月3日(1割8分6厘)を最後にない阿部だが、今日は安打が出るか。