<オリックス5-3ソフトバンク>◇29日◇京セラドーム大阪

 オリックスがソフトバンクとの首位攻防第1ラウンドを制し、4月の球団記録に並ぶ17勝で、貯金を00年以来となる「10」に乗せた。先発した西勇輝投手(23)は月間防御率のパ・リーグ新記録こそ逃したが、7回2失点の好投で開幕5連勝。月間MVPをほぼ確実にした。佐藤達の月間10ホールド、平野佳の同10セーブも球団の月間新記録。記録ラッシュの白星で、4月首位確定だ。

 今世紀初の2ケタ貯金は、無敵の右腕が運んできた。「内野の方も外野の方もしっかり守って、投げやすい環境をつくってくれました。チームのおかげです」。西は周囲に頭を下げた。そんな謙虚な男が自身開幕5連勝で、首位堅守の価値ある白星を呼び込んだ。

 投球は大胆だった。チーム打率12球団トップの3割を誇っていたソフトバンク打線相手に5回まで完全投球。2回に7打席連続安打中だった長谷川を内角球で空振り三振に斬るなど、次々に内角へと投げ込んだ。6回、柳田に初安打を許したのをきっかけに1失点。7回2死から李大浩に同点弾を浴びた。7回2失点での交代。防御率は0・28から0・69に下がり、66年8月に南海皆川が記録した0・24のパ月間最高防御率更新は逃したが、12年から続くソフトバンク戦の連勝は「7」に伸ばした。

 西

 結果オーライでは駄目なんです。狙ったところに投げられていない。金子さんなら8、9回まで投げている。

 強敵を封じる快投は、まさに大黒柱の仕事。森脇監督も「これだけのタレントがそろったチームを相手に本当によく投げた」と絶賛した。だが、結果だけで喜ばないあたりに、主軸の責任感がうかがえる。捕手の伊藤も「金子さんの次の試合で投げていた昨年までなら、7回2失点ならいいと思っていたでしょう。でも今年は満足しない。カードの初戦を任されて、自分に求めるレベルが高くなっている」と明かした。

 西は「チームが苦しんでいるとき、勝ってくれと思われるときに勝てる投手になりたい」と、最後まで自分への叱咤(しった)を忘れなかった。より高みへ。4月だけの首位にとどまらない、というチームの思いの象徴だ。【堀まどか】

 ▼オリックス西が5試合で5連勝。開幕から5戦5勝は今季の中田(ソフトバンク)もマークしているが、オリックスでは阪急時代の39年に高橋敏が7戦7勝して以来、75年ぶり2人目となった。これでチームは4月17勝目。オリックスが4月に17勝したのは78年に並ぶ球団最多。