<阪神1-0広島>◇29日◇甲子園

 1球に泣く…。広島は2位阪神との3連戦初戦に惜敗した。先発ブライアン・バリントン投手(33)は7回2死までパーフェクトに抑えたが、8回2死から7番福留に決勝弾を許した。チームは阪神に1ゲーム差、3位巨人に2ゲーム差に迫られた。今日30日は藤浪相手に倍返しだ!

 バリントン劇場の結末は残酷だった。ムービングボールと変化球を低めに集め、強力虎打線に的を絞らせない。7回2死まで、1人の走者も許さなかった。3番鳥谷に左翼線二塁打を浴び、大記録達成はならず。それでも阪神メッセンジャーと無失点の投げ合いを演じ、8回2死まで1安打無四球投球の好投も…。

 バリントン

 外角のツーシーム。今日はあの球がよく動いていた。しっかり思うところには投げられたんだけどね。相手も何打席か立って、ボールの軌道を見て、しっかり対応してきた。失投ではない。

 7番福留への外寄り138キロ。完璧にとらえられ、バックスクリーン右の中堅席まで運ばれた。両チーム無得点の均衡を破られる決勝ソロとなった。失投ではないのだから、相手を褒めるしかない。わずか90球で8回を投げ切り、8奪三振の2安打1失点。野村監督が「文句のつけようがない投球だった」と褒めたたえた通り、責められない快投だった。

 好調をキープしていた打線の沈黙が誤算だった。昨季3勝1敗と好相性だったメッセンジャーに12三振を奪われ、2安打完封を許した。150キロ前後の直球ではなく、変化球主体の投球にイメージチェンジした右腕に戸惑った。1点を追う9回表は先頭の代打田中が四球を選んだ後、バントを試みた堂林が捕邪飛に終わり、流れが途切れた。

 悔しさの残る1敗。2位阪神に1ゲーム差、3位巨人に2ゲーム差とされ、ここが踏ん張りどころだ。下を向いている暇はない。指揮官は「こういう試合を引きずらないようにしないといけない」と力を込めた。長い首位争いを戦い抜くためには、心の切り替えも重要になる。【佐井陽介】