<西武4-1日本ハム>◇29日◇西武ドーム

 途方に暮れた。日本ハム栗山英樹監督(53)の足が止まった。西武ドーム名物の長い階段を上り、帰りのバスへと向かう道中。「何かおかしいんだよなぁ」と通路の壁に頭をもたげて数秒、物思いにふけった。投打ともに見せ場なく4連敗、借金は今季最多の5。カード初戦8連敗となった。先制されて無抵抗のまま敗れる、直近の負けパターンを繰り返した。「ずっと、このままいくのかなぁ。オレは悪いのかなぁ」。ネガティブな自問自答を繰り返しながら、収穫なき一戦を総括した。

 前半戦のヤマ場の1つに突入した初戦だった。この日が過密日程9連戦のスタート。必死に気持ちを取り直し、臨んでいた。「悪いことあるけれど世の中、本当にいろいろなことがあるから。野球ができていることを幸せと思ってやらないといけない」。3回終了時点で、わずか1点のビハインドだった。3回を除き5回まで、毎回走者を出しながら無得点。その裏にメンドーサがこらえ切れずに崩れた。現状のチーム状態では致命的な2失点だった。

 この日1軍再昇格した武田久を、抑えから配置転換し「敗戦処理」で8回途中で起用した。ゼロから再出発する必死なベテランの姿で、選手の心を打とうと試みたが呼応しない。先発を含む投手陣が要所で崩れ、打線はチャンスで集中力を欠いた。近年の強さの伝統だった勝負強さ、試合巧者ぶりは影を潜めたままだ。日に日に重みを増す、沈滞ムードにも拍車がかかってきた。栗山監督は宣言した。「おかしいもん。何かやるよ。変えないとね」。チーム編成の微調整なのか、強烈な意思統一の確認なのか。就任3年目のシーズン序盤。情に厚い熱血監督が動き、動かす時が来た。【高山通史】