巨人と、元巨人球団代表兼GMの清武英利氏(63)との間で争われている、動産引渡請求事件の証人尋問が26日、東京地裁で行われた。訴訟では、清武氏が11年11月の解任後に持ち出したとされる球団の機密文書4点の引き渡しを求めている。

 新事実が判明した。清武氏は12年8月8日、機密性の高い文書などを画像化してハードディスクに取り込み、翌9日、ディスクを持ってシンガポールへ渡り、私的に交流のあった女性のパソコンにコピーしていた。清武氏は12年10月には女性と婚約状態にあり、現在は再婚している。関係者によると、女性は30代だという。フォルダーには、選手の個人情報、編成方針など数百点が保存され、ファイル数は約2万9000点に及んだ。清武氏は「さしたる資料でない(同氏は『基礎情報的資料』と呼んでいる)と考えた」と述べた。

 清武氏は10年12月、読売新聞東京本社が作成した長嶋茂雄終身名誉監督に関する未掲載原稿を入手。業務用パソコンで女性にメール送信した。読売側は12年10月、シンガポール高等裁判所に対し、女性を相手取って原稿の使用差し止めを求める訴訟を起こした。同時に、同国法で定められた手続きにのっとり、女性のパソコンの調べが行われた。

 調査には、電子データを専門技術で分析する「デジタル・フォレンジック」という手法が採用された。結果、膨大なファイルが女性のパソコンにコピーされていることが分かった。ディスクに取り込んだ翌日に渡航した点について、清武氏は「たまたまだと思う」と話した。6月5日には、清武氏の解任を巡る訴訟の証人尋問が行われ、渡辺恒雄球団会長(87)が証人として出廷する。