巨人の外野陣が「総選挙」に突入する。チームは30日、大阪へ移動し、今日31日からのオリックス戦(京セラドーム)に備え、甲子園で全体練習を行った。沖縄キャンプで右手人さし指を骨折した亀井善行外野手(31)が1軍合流。外野登録は7人、内野兼任の2人に加え、計9人が3つの椅子を争う、国民的アイドル顔負けの激戦の様相を呈してきた。原辰徳監督(55)は不振の長野久義外野手(29)に直接指導し、競争をあおった。

 「総選挙」の総合プロデューサーともいえる原監督が、直接演出したのは悩める長野だった。全体練習から離れ、室内練習場の隅のスペースを占拠した。関係者がコースを想定してバットの先端を差し出し、長野はグリップエンドを先端に1度合わせてから素振りを繰り返した。ティー打撃や打撃投手を相手にした練習も含めれば、約1時間の特訓だった。

 長野は巨人の“センター”的存在だが、5月に入り打率2割3分3厘と苦しみ、8、9番に打順を落とした。原監督は「やるか?」と声をかけ「お願いします」という返答に、みっちりとした指導で応えた。「彼の中でジレンマもあるだろう。早めにコンディションを上げないと。自分のスイングを取り戻させるように教えた。練習でできていて、試合でできていなかったから」と再生に踏み切った。

 開幕前に空位だった中堅手を決める「センター試験」を実施した。だが開幕から2カ月がたち、誰もがレギュラーへ名乗りを上げられる状況だ。2月下旬に右手人さし指を骨折した亀井もレースに加わる。「送球のイメージは、もう少し。でも後はアドレナリンでカバー。結果を出さないと」。4戦連続で外野で先発出場中の中井は「必死にやらないと」と、神7ならぬ神3入りへ意気込んだ。

 故障で2軍調整中のアンダーソンも復帰が見えてきた。外野の層が厚くなったことを聞かれた原監督は「異議なし!」と高らかに総選挙開幕を宣言した。【広重竜太郎】