逆襲のキーマンを直撃した。12年ドラフト1位・中日福谷浩司投手(23)が今季ここまでリーグトップの36試合登板と19ホールドポイント(HP)を記録。フル回転の活躍でチームを支えている。今日27日からリーグ戦が再開。1ゲーム差に迫った3位阪神といきなり激突する。Aクラス浮上のカギを握る男が、飛躍の秘密を激白した。

 -今季は36試合に登板し、防御率1・77と驚異的な数字を残している

 福谷

 去年は悩んだケガ(右足内転筋痛など)をまだしてないですし、登板回避もないということはここまでよくできているとは思います。結果とか成績には気にしていない。とにかくケガなく1年間、走り抜くことが出来ればと思っている。登板が多いと言われますけど、自分の中では無理な登板はないのかなと思う。許容範囲内です。

 -昨年との違いは

 福谷

 去年は内転筋をケガしてフォームを修正する途中で、他のところに負担がかかった。悪循環にはまった1年間でした。どこかで区切りをつけてスタートしないといけない。そう思っていた。それが去年の秋でした。ケガをしないフォームを見つけるまでは我慢しよう。打たれても球速が出なくても我慢しよう。決意は固かった。

 -具体的なフォームの変化は

 福谷

 左足を着いたときの重心の位置を意識しています。今までは中央、できれば後方にあったらいいと思ったけど、今はむしろ左足(前)の方にあればいいと思っている。指導者の方に聞けば、それは間違っているというフォームなんです。ただ、それでもケガしないフォームを求めなくちゃいけないという覚悟があった。そのフォームで投げると内転筋には負担がかかりにくい。そういう自分の発見があった。

 -フォーム改造の他にブレークのきっかけは

 福谷

 僕はこの回に「いきそうだな」と思ったらすぐにボールを触っていた。その時に岩瀬さんから1回、1回ボール触っていたら投げなくても(疲労が)たまっていくよって言われた。自分がいくと決まってから最低でもブルペンで2、3球は投げられる。マウンドに行ってからも5球は投げられる。8球あるんだから、そこで調子合わせるくらいでいいんじゃないの?

 と言われた。

 -助言を生かせた

 福谷

 (十分に球数を投げずに)肩が回らないと不安じゃないですか?

 って聞いたんです。そうしたら「だからオレはストレッチでやる」って。それ以降、岩瀬さんのストレッチをずっと見てるんですけど、確かにずっと同じストレッチをされるんですよ。出番がありそうとなった時に。ストレッチで(肩の状態を)確かめるというのは印象的でした。8球が確保されてる分、その前のボールをいかに減らすか。1球でも減らせば1年で144球減ると。(プロ野球人生は)今年だけじゃないよと言っていただいた。もちろん、参考にしています。

 -監督推薦による球宴出場の可能性も十分ある。最優秀中継ぎ投手のタイトルも狙える活躍

 福谷

 まったく意識してない。今はひたすら、プロに入って甲子園は初めてなので雰囲気にのまれないかなとかそういうことばっかり考えている。目先のことばっかり考えてるんで、成績も気にしていません。ケガしなければOK。そこは変わりません。(リーグ戦再開するが)また一からのスタートのつもりでいきたい。【取材、構成=桝井聡】

 ◆福谷浩司(ふくたに・こうじ)1991年(平3)1月9日、愛知県知多市生まれ。横須賀ではエースで4番。3年夏の東愛知大会は初戦敗退。AO入試で慶大理工学部に進学。1年秋に東京6大学リーグデビュー。3年春は抑えで12試合に登板し、最速155キロの直球を武器に最優秀防御率(0・59)タイトルを獲得。12年ドラフト1位で中日に入団。昨年11月のファン感謝デーで公式ニックネームが「ふくやん」に決定。183センチ、90キロ。右投げ右打ち。

 ◆ホールドポイント(HP)ホールド数に救援勝利数を加えた数。ホールドとは勝敗、セーブのつかない救援投手が対象。セーブの条件を満たす状況、または同点の状況で登板し、1死以上のアウトを取り、リード(または同点)を保って任務を終えた投手に与えられる。HPが最も多い投手が「最優秀中継ぎ投手」として表彰される。