<阪神2-3巨人>◇23日◇甲子園

 高く打ち上がったボールを、4万4893人が見上げた。阪神マウロ・ゴメス内野手(29)だけはその中でただ1人、うつむいて走りだした。まさか、の先制弾だった。

 「とらえたのがバットの先端気味だったので、打った瞬間はレフトフライになってしまったと思った」

 初回2死一塁。巨人小山の140キロの外角直球を振り抜いた。詰まった当たりにアウトを覚悟したが、徐々に歓声が大きくなった。「予想以上に打球がよく伸びてくれて、スタンドインしてくれたよ」。着弾の瞬間、ゴメスは一塁にもたどりついていなかった。浜風にも乗った打球は、ラッキーな形で左翼席最前列へ。ダイヤモンドを回りながら、11日巨人戦以来、8試合ぶりの17号2ランをかみしめた。

 5カード連続で続く屋外球場での戦い。じめじめする暑さを嫌がるゴメスを支えるのは「食」だ。もともとドミニカ共和国は米を食べる習慣があったため、ベンチ裏では空揚げとおにぎりをほおばる。周囲の関係者は「マグロの刺し身が好きだし、鉄板焼きでも野菜を食べる」と食生活の順応に目を細める。肉、野菜、すべてOK!

 夏バテによるパフォーマンス低下が心配される中、タイミングを見計らったように家族も来日した。環境は問題なし。後半戦最初の1発で今後、勢いは加速しそうだ。

 その後の3打席は走者を置いた状態で凡退。巨人3連戦は9打数2安打と本来の力は出せなかった。「勝ち越すことができたし前を向いて。切り替えて広島戦に臨みたいです」。勝利にはつながらなかったが、価値ある1本だ。ゴメスの本当の意味での後半戦がようやく始まった。【松本航】