<楽天1-8日本ハム>◇25日◇コボスタ宮城

 復帰初戦を白星で飾れなかった。腰の手術による休養から戻ってきた楽天星野仙一監督(67)が、25日の日本ハム戦(コボスタ宮城)で5月25日以来の指揮を執った。2回に1点を先制したが、6回以降に8点を失い逆転負け。四球が失点に絡む悔やまれる内容だった。チームは3連敗で、今季最多タイの借金15。2カ月ぶりの復帰は逆風で始まった。

 一方的な逆転負けを見届け、星野監督は誰よりも早くベンチを引き揚げた。スタスタと会見場に入ると「正直言って、ぬるい野球をやっている。今のポジション(最下位)は当たり前。四球だね。もっとも嫌う負け方だ」と、ぶちまけた。8失点のほとんどに四球が絡んだ。6回は塩見が1死一、二塁から四球で塁を埋め、中田に逆転満塁弾。7回は西宮が押し出し四球。8回は長谷部が先頭への四球から2点を失った。

 重苦しい再スタートになってしまった。皮肉にも、批判や中傷といった逆風とも戦ってきた生きざまそのものだ。今回の闘病生活も、そう。国指定の難病である胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症に椎間板ヘルニア。67歳で数時間に及ぶ手術に耐えた。だが、本当の苦しみは、その後だった。

 「年を取るのは残酷だな。治りが遅い」

 この2カ月を振り返り、ポツリと漏らした。入院中、腰には体内の血液を排出するためのチューブが刺さっていた。点滴も受けていた。「トイレに行く時は引きずりながら。大変だった。そういう姿を見せるのは嫌だった」。ソフトバンク王会長をはじめ、多くの人からお見舞いの申し出を受けたが、丁重に断った。

 リハビリ初日は、わずか15分の歩行に苦しみ「手術なんて、やらなきゃよかった」と弱音も持った。それでも、翌日、翌々日と少しずつ距離を延ばした。「目標があると、不思議と歩けるんだ」。オールスターか、後半戦には絶対に戻る。自らを奮い立たせた。

 勝てなかった。「筋書き通りにはいかない。美談ばかりじゃない。それが人生だから。良い意味で、末広がり(8失点)の負けで良かった」と冗談を交え、現実を受け止めた。最後は「技術も、気持ちも、ぬるい。締め直さないかん」。復帰のお祝いムードは、もう終わり。次戦は、勝つためだけにやる。【古川真弥】