<広島7-5阪神>◇26日◇マツダスタジアム

 2ランスクイズとはつーらいなあ。勝てば首位巨人に0・5ゲーム差肉薄、今季最多貯金10となっていたのが、広島の「細かな大技」に屈した。上本の2夜連続同点2ランが飛び出した直後の8回裏。1死二、三塁から“くせ者”菊池に2ランスクイズを決められてしまった。1回に3点を先制した試合はもつれにもつれながら、不快指数を高める競り負けだ。

 虎のホームは遠かった。2点を追う9回だ。粘って1死満塁と攻め立てた。伊藤隼の鋭いライナーは…三塁真っ正面。最後は「神様」関本の二ゴロでジ・エンド。敵地で同点そして逆転を期待した虎党の夢は、ため息とともに4時間6分で終わった。

 和田監督

 最後だけじゃなく、あと1本だよね。上のチームとやるときは、1つのミスで勝敗が決まる試合が多い。今日は当たり前のことができなかった。

 相手にはまんまとやられた。8回、上本の連夜の同点2ランでイケイケにした。盤石の福原で必勝リレーへ突入。ところが先頭会沢の安打から四球に犠打もしっかりと決められて1死二、三塁。警戒十分のカウント1-1から、菊池はスクイズだった。

 高代内野守備走塁コーチ

 ゴメスだから狙ってきたのかな。セーフティースクイズで守備力に狙いをつけてきた。スクイズは予想していて、その前に1球外している。天然芝で(ゴロが)死んでグラブトスもできない。警戒した中で決められた。無警戒の穴に突っ込まれたわけじゃない。

 土壇場で、教科書通りに打球を殺された。本塁送球を諦めたゴメスは一塁へ送球したが、間に合わなかった。さらにその間に、二塁走者木村も本塁へ突入。最初から狙っていた積極的走塁で、7点目を奪われた。数年に1度決まるかというビッグプレー。「1」ではなく「2」となった点差が、ズシリと重くのしかかった。

 ゲーム中盤のモヤモヤが響いた。2回からの6イニングで先頭を4度出した。2回は強攻実らず、6回は無死一塁で伊藤隼がバント失敗した。7回は左前打の先頭今成が二塁を狙ってタッチアウト。「スミ3」で1点ビハインドのまま、試合は進行していった。大和が離脱した今、期待の若虎に高い授業料になった。

 和田監督

 ミスをみんなで消そうという姿勢は出てる。これだけもう1回、もう1回、という気持ちが出てるんでね。そういうものを出していけば、十分に追い付いて、ひっくり返す試合はできる。

 午後3時試合開始の巨人が負けたのは、2回終了時。勝てば首位に0・5ゲーム差、今季最多の貯金10もすぐそこにあった。暑き広島で繰り広げた熱き攻防で今季40敗目。敵の機動力に脱帽しながらも、虎はファイティングポーズを失っていなかった。【近間康隆】<広島に決められた2ランスクイズ>

 ◆10年6月22日米子。阪神が3-2と1点リードで迎えた4回裏の守り。1死二、三塁から広島大竹にスクイズを決められ同点。打球を処理し一塁へ送球した捕手城島が一瞬ホームベースを空けた隙を突かれ、二塁走者小窪も生還。一気に逆転を許した。試合は7-7の同点で延長に入り、阪神が11回に6点を挙げて振り切った。