<西武3-5ロッテ>◇27日◇西武ドーム

 天敵にようやく土をつけた。ロッテが10年4月以来、8連敗中だった西武岸を打ち崩し、4位に再浮上。伊東勤監督(51)も安堵(あんど)の表情で「序盤はどうなるかと思ったけど。岸を打ったのは大きい。ずっと勝ててなかったみたいだしね。今日はいい集中力を持っていた」とたたえた。

 5月2日にノーヒットノーランを喫した相手に、序盤で3点のビハインド。攻略の着火剤になったのは、金沢岳捕手(30)の一振りだった。先頭で迎えた6回に「勝手に反応しました。直球に合わせていたんですが、自分でもビックリするぐらいうまく打てました」と、チェンジアップを右翼席にたたき込む、12年目でのプロ初アーチ。この日、チーム2本目の安打で嫌な空気を振り払うと、さらに4連打で2得点。一気に追いついた。

 引き寄せた流れは、最後まで手放さなかった。同点の9回。サブローが四球を選ぶと、続くハフマンが左中間を破る決勝の適時二塁打。6回の勝ち越し機には凡退していたが「(岸は)失投のなかなかない投手。前の打席は打ってやろうと気持ちだけ上ずっていた。9回はリラックスして臨んだよ」と、会心の一打に胸を張った。

 先発成瀬も初回の3失点のみで、反撃の下地をつくった。投打の集中力がかみ合った逆転勝利。29日日本ハム戦からは、新助っ人デスパイネが戦列に加わる。伊東監督も「いい弾みがついたね」と評した天敵KO劇は、巻き返しへ最高の景気付けとなった。【佐竹実】