<DeNA7-6巨人>◇5日◇ハードオフ新潟

 DeNA中畑清監督(60)がベンチ入り25人中24人を起用する総力戦で、宿敵巨人を倒した。5点リードの勝ちゲームを8、9回に追いつかれるドタバタ劇。延長12回に桑原のサヨナラ打で辛うじて勝利した。負ければ大きなダメージが残る試合だったが「今年最高の野球」と称して喜んだ。

 やっと、やっと勝利をつかんだ。延長12回1死一、二塁から、桑原将志外野手(21)のサヨナラ打を見届けた中畑監督は、ベンチを飛び出し、メンバーと全力でハイタッチした。「最高の野球ができた。野球の怖さ、喜び、感動の全部を味わえた1日でした。最後の最後にすごい感動を与えてもらった」とまくしたてた。巨人戦の勝ち星が、今季11試合目で昨季の5勝(18敗1分け)に並んだのだから無理もない。

 もっと楽に勝っておかしくない試合だった。1、2回で5点を奪う楽勝ムード。しかし、7回まで無失点と好投していた「Gキラー」久保が8回途中3失点で降板。「今日は完投、完封してほしかった」(同監督)と、4連打されたところで三上にスイッチ。そこから暗雲が漂い始めた。

 2点リードの9回には、新守護神国吉を投入。2死まで簡単に奪ったが、経験不足が露呈。安打と四球で高橋由で左腕ソトにスイッチしたが中前打を許す。「国吉とソトで1死取るつもりだった」とのもくろみが崩れる。続く小林の死球には「よけてない」と猛アピールするも判定は覆らず、セペダにも微妙な判定での押し出し四球で同点。「隙を見せてはいけない。やっぱり巨人だよ。粘りは鳥肌だよ」と改めて宿敵の怖さを感じた。

 ベンチ入り24人中22人起用の巨人に対して、25人中24人を使う文字通り総力戦。勝ちパターンが崩れ同点とされたが「変えるつもりはない。三上、ソト、国吉でいく」と言った。試合内容はともかく、勝利には変わらない。「本当に野球って怖い。最後の最後に感動をくれた。バンザーイ!」と目を赤くした。何とかつかんだ勝利にこみ上げてくるものがあった。【細江純平】

 ▼3年目の桑原が延長12回に右前へサヨナラ打。1試合5安打、サヨナラ安打ともにプロで初めて。5安打目がサヨナラ安打となるのは珍しく、04年4月18日鈴木健(ヤクルト)が阪神戦で左前サヨナラ打を放って以来10年ぶり。