<DeNA10-1巨人>◇7日◇横浜

 ハマの番長が完投で決めた!

 DeNA三浦大輔投手(40)が、13年ぶりとなる巨人戦の9回完投勝利で、チームを8年ぶりとなる同戦の同一カード3連勝へ導いた。9回先頭の阿部に1発を浴びて完封は逃したものの、9奪三振と終始ペースを握る投球だった。チームは巨人戦の対戦成績7勝6敗と、ついに勝ち越し。4位中日に3ゲーム差と、じわじわ上位へ近づく。番長、初のクライマックスシリーズ(CS)出場をヨ・ロ・シ・ク!

 番長がキメたぜ。右拳を天に突き上げた。「ゲームセットの瞬間くらい、いいかなって思って」。普段は控えめなガッツポーズが持ち味の三浦だが、今季初の本拠地勝利、何よりチーム8年ぶりの巨人3連戦3連勝、ちょっとくらい、派手なポーズがちょうどいい。

 完封は、あと1歩で逃した。9回だ。先頭の阿部への初球。右越え本塁打とされた。「もったいない」とばかりに、苦み走った顔を、ちょっと傾けた。試合後は「完封は意識しましたし、甘い球は逃してくれませんね」と苦笑いした。

 今年初めてのお立ち台。「ここに帰って来たかった。この舞台に、このお立ち台に。帰って来られて良かったです」。球場を埋めたファンも、巨人戦3連勝と同じくらい、三浦の奮闘を喜んだ。その思いが伝わると、三浦は感謝の言葉を探した。「9回、マウンドに上がる時の歓声。鳥肌立ちました。球場でもテレビでも、ラジオでも、応援してくれる人がいる。期待に応えられて良かったです」と、しみじみ言った。

 初回の投球が勝因だった。先頭の坂本に安打を浴び、2番井端に犠打を決められた。いきなり得点圏に走者を背負いながらも、亀井を3球三振。2死二塁、4番阿部にはカウント2-2からインコースの直球で空振り三振に仕留めた。中畑監督は言った。「ピンチを背負って3番、4番へのインコースの勝負球が、みんなの気持ちを奮い立たせてくれた。彼がリズムをつくってくれた」。

 最高の投球を追求する40歳だ。今年からコーチ兼任。しかも2軍生活も長かった。炎天下の横須賀で、若手の投球を見て、ノックもした。指導する一方、若手の突き上げを上から抑えないと1軍に上がれない。難しい立場だが「ノックも腰の使い方の練習になるよ」と、探求心と向上心は忘れなかった。

 9回131球。9安打9三振、無四球完投。途中で交代の打診はなかったのか?

 記者の質問に「なかったし、行くつもりでした。いつも完全試合を考えてますから。1回にノーヒットノーランがなくなったので、次は完封だなって。常に最高の形を考えてます」。さらりと答える顔が、キマッてた。【金子航】