<広島2-7巨人>◇15日◇マツダスタジアム

 想像できる範囲を超えていた。広島前田健太投手(26)が巨人打線、そして雨と戦い、まさかの完敗を喫した。今季最短の3回6安打6失点で6敗目。「申し訳ないです…」。巨人相手に5回以上を投げられなかったのは、入団8年目で初めてだった。

 強い雨が降り続きマウンドは泥だらけと言ってもおかしくない状態。1回2死から3番坂本に先制の左越えソロを献上し、2回は先頭の5番高橋由に右越えソロを浴びた。3回は先頭の9番内海に四球を与えたところで、たまらずマウンド整備を要求したが、四球を挟んで4連打を浴びて4失点。精密な制球力は影を潜め、直球も本来の球威からは程遠かった。

 自他ともに認める「雨男」にとっても条件は最悪で、いら立ちを隠せなかった。ただ、巨人内海は同じマウンドできっちり試合を作った。

 前回8日阪神戦は左足がつるアクシデントも影響したのか7回途中7失点。エースの2戦連続KO負けがチームに与える動揺はあまりに大きい。5年連続2桁勝利を4戦連続で達成できず、防御率1位の座も巨人菅野に明け渡した。チームは11戦連続でカード初戦に勝てず。レンジャーズ、インディアンスのスカウト陣が熱視線を送る中、らしさを披露できなかった。

 2回には8番小林から通算1000奪三振を記録したが、完敗の中での個人記録を喜べるはずがない。首位巨人との3連戦初戦を落とし、王者とのゲーム差は今季最大タイの5まで広がった。2位阪神にも2・5ゲーム差とされた。涙雨も乾ききったのか。48分間の試合中断後、雨脚は寂しく弱まった。【佐井陽介】 ▼通算1000奪三振=前田(広島)

 15日の巨人15回戦(マツダ)の2回、小林を空振り三振に仕留めて達成。プロ野球139人目。初奪三振は08年4月5日横浜2回戦(広島)で吉村から。