<阪神8-1中日>◇19日◇京セラドーム大阪

 中日大逆転Vへ正念場の6連戦は、痛恨の完敗発進となった。阪神メッセンジャーのヒーローインタビューが漏れ聞こえる三塁ベンチ裏。谷繁元信兼任監督(43)は厳しい表情だ。「表裏でゲームの流れというか、それが完璧に出た試合になりましたね」。投打かみ合わずの完敗は、初回の攻防がすべてだった。

 プレーボール直後、大島の二塁打と相手失策で無死一、三塁の先制機をつくった。だがルナと平田が連続三振。森野も内野ゴロと中軸で1点も奪えなかった。特に4番平田は、助っ人右腕と通算26打数11安打の好相性だったが気合が空転。絶好機を逃した竜に、勝利の女神はそっぽを向いた。

 「申し訳ないです…」。その裏、肩を落としたのは先発の朝倉健太投手(33)だった。こちらはピンチで踏ん張れず、鳥谷、マートン、伊藤隼、梅野と4本の適時打を浴びて4失点。要所で高めに浮く失投の連続で、序盤から京セラドーム大阪を虎色に染めてしまった。2回にも1点を失うと、もう流れを戻す力は残っていなかった。

 自力Vも消えた4位の竜にとって2位阪神、1位巨人と戦う今週の6連戦は、奇跡への夢がつながるかどうかの正念場といえる。中でも勢いをつけたかった初戦。だが朝倉が今季最短の2回でKOされ、中継ぎ陣を大量動員せざるを得ない疲弊感だけが残った。そして首位巨人とは6・5差、3位広島とも3・5差に広がった。重い重い1敗だ。

 後半の火曜日を任せながら4試合勝ちがない朝倉に、谷繁兼任監督は「自分がどうやって抑えるか、もう少し意識してやってほしかった」と苦い表情。試合後、2軍落ちを通告した。チームは3連勝&5割復帰を逃したが、カード初戦もこれで4連敗。「選手もみんな取りたいと思っているけど、何かしら原因はあると思う」。波に乗れない指揮官の悩みも深まってきた。今日20日の2戦目は浜田が先発。若い力で、勢いづく勝ちをつけてくれ!【松井清員】