<巨人3-7中日>◇24日◇東京ドーム

 巨人で最もコントロールのいい久保裕也投手(34)が7回、3者連続で押し出し四球を与えた。1点差に追い上げた直後、まさかの3失点で中日に突き放され、連勝が3で止まった。

 久保は4番手で登板した。2死二、三塁で4番平田を迎えた。慎重に入り、2ボールとなり、一塁を埋めた。森野をじっくり仕留めるつもりが、直球も、変化球も、ストライクゾーンに入れることができなくなった。ショートから坂本が心配そうに駆け寄り、何度も励ましてくれたが効果なかった。打者が1球も振らない押し出しを、エルナンデス、谷繁にまで続けてしまった。「追い上げムードだったのに、申し訳ないです」とわびた。

 高めに抜け、低めにワンバウンドした。普段は軌道まで意のままに操り、狙った点へボールを自在に出し入れする。内角、外角とコーナーワークを駆使する、前の前の段階だった。「(塁が埋まり)大胆に行きづらかったかも知れないが、大胆に行くことも必要だと思う」と、心理面が制球に悪影響を与えたことを認めた。野球少年もプロ野球選手も、コントロールは永遠のテーマ。12年目、チーム最年長34歳のベテランでも、わずかな心の乱れがボールを乱してしまう。

 投手の難しさだが、ゲームの分岐点で飯を食っている以上、押し出し四球に言い訳はできない。送り出した原監督も「う~ん。いい形で追い上げて、何というか…。プロとして、何というか。恥ずかしい勝負をした、させた。反省したい」とファンにわびた。4勝2敗で8月3度目の6連戦を終えた。「しっかり修正して、恩返しできるよう頑張りたい」と久保は言った。代役が簡単に見つからない職場。明日26日からの阪神戦で、すぐに名誉挽回の局面が訪れる。【宮下敬至】

 ▼久保が7回に3者連続押し出し。連続押し出しのプロ野球記録は1リーグ時代の47年4月20日溝部(阪急)の4者連続だが、2リーグ制後では09年8月27日江草(阪神)以来14人目(セ7人、パ7人)のワーストタイ記録。巨人では79年6月3日角が阪神戦で記録して以来、35年ぶり2人目の屈辱だ。久保の押し出しは昨年まで通算4個だったが、今年は5月13日森岡(ヤクルト)6月18日ペーニャ(オリックス)と合わせて両リーグ最多の5個。巨人でシーズン5個の押し出しは78年田村以来になる。<セ・リーグで3者連続押し出しを記録した投手>79年6月3日

 角三男(巨人)阪神92年5月2日

 東瀬耕太郎(大洋)中日95年6月17日

 伊林厚志(ヤクルト)横浜98年5月7日

 渡辺久信(ヤクルト)広島03年7月26日

 吉野誠(阪神)中日09年8月27日

 江草仁貴(阪神)横浜14年8月24日

 久保裕也(巨人)中日※左から年月日、投手名(所属)、相手