阪神が今季国内FA権を取得したオリックス金子千尋投手(30)の獲得調査を行っていることが28日、分かった。球団は今オフの最重要補強ポイントを投手に定め、昨オフ連敗したFA市場への参戦を決定した。その目玉としてパ・リーグ投手3冠を走る大物右腕の調査に本腰を入れる方針となった。また先発候補として中日山井大介投手(36)、リリーフは日本ハム宮西尚生投手(29)を中心に調査を進めていく。

 激しい優勝争いと並行して、球団では来季への補強方針を決める会議が開かれた。巨人との東京ドーム3連戦中には、現場とのすり合わせも行われた。球団幹部によれば、最重要課題に挙がったのが投手補強。そこで、昨オフ連敗したFA市場への参戦を決めた。その目玉がオリックス金子だ。

 金子はプロ10年目の今季、国内FA権を取得した。これまでパ・リーグを代表するエースとして10年に最多勝を獲得。今季も現在、投手部門3冠を争う右腕が仮にFA宣言することになれば、争奪戦は必至。阪神は昨年オフ、日本ハムからFA宣言した鶴岡、中日から宣言した中田の獲得に乗り出したが、ともにソフトバンクに敗れた。今回もマネーゲームの可能性があるため、当初は慎重論が出ていたが、ここにきて先発補強の大本命にアタックすべきだという球団首脳の考えもあり、調査に本腰を入れることになった。

 また同じく先発補強候補となるのが中日山井だ。今季36歳となったが、ここまで9勝3敗と中日投手陣を引っ張っている。大阪出身で神戸弘陵高から奈良産大という経歴もあり、球団はその動向を注視している。

 さらにリリーフ補強も狙う。現在、7回は36歳の安藤、8回は37歳の福原とベテランコンビが守護神呉昇桓へのつなぎ役を務めている。2人への評価は揺るぎないが、少しでも負担を軽減し、万が一のことがあった際の危機管理という意味でも同部門の強化が急務だという結論に至った。

 実績十分なオリックス平野佳らが候補だが、中でも注目しているのが今年で7年連続50試合登板を達成した鉄腕、日本ハム宮西だ。地元・兵庫県西宮市出身で、市尼崎高から関学大という経歴の持ち主。07年のドラフトでは阪神も上位指名候補に挙げていただけに、リリーフ補強の本命だと言える。

 今季3年契約最終年を迎えた和田監督については、来季続投が基本方針となっていることが明らかになった。その第2次和田政権をサポートすべく、猛虎が激戦必至のFA市場へと参戦する。

 ◆金子千尋(かねこ・ちひろ)1983年(昭58)11月8日、新潟県生まれ。長野商では2年春に甲子園出場。トヨタ自動車を経て、04年ドラフト自由枠でオリックス入団。10年に17勝で最多勝。昨季は両リーグで唯一、沢村賞の選考基準全7項目をクリアするなど、球界を代表する投手に成長。180センチ、77キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸2億円。