<日本ハム8-3ロッテ>◇29日◇東京ドーム

 未来につながる足跡を残した。日本ハム浦野博司投手(25)が価値ある7勝目をつかんだ。今季パ・リーグの新人先発の初対決。ロッテ先発は7勝の東京ガス出身の石川。経験豊富な社会人出身のライバル対決で投げ勝った。「勝ちたかった。今日は勝つって決めていた。相手関係なく気持ち入れて投げました」。打線の後押しを受け7回途中8安打2失点。勝負どころで踏ん張り、望みをつなげた。

 快進撃で新人王を引き寄せた。7月25日楽天戦から自身4連勝。筆頭候補の西武の守護神・高橋や7勝のチームメートの上沢を猛追している。試合前には上沢と「今日、勝って勝ち星が並んだら良いね」と刺激し合った。新人ながら即戦力として、先発ローテーションの一角を務める活躍。「タイトルはまだまだ。チームの勝利に貢献するだけ」。静かに自信を膨らませ、またタイトルに近づいた。

 現状を受け入れ、野球と向き合う覚悟を決めた。セガサミー時代の同期の多くは結婚し、第2の人生を謳歌(おうか)している。中学時代の旧友の結婚式での祝電や、お祝い動画を依頼されることが増えた。「結婚はしたい。子供も欲しい」。人生設計では20代前半には結婚しているはずだった。プロ入り後は大きく書き換え野球を最優先。「まずは1年間、シーズンを全うすることだけ」と脇目も振らず、積み重ねてきた努力が光った。躍進を続ける頼もしさが、シーズン終盤で大きく生きていく。【田中彩友美】